また妙な一致が起きたので、忘れないうちに書き残しておきます。
いつものようにN社CEOが台湾を訪れていました。今回は市長まで招待されていて、その場で「N社と協力して台北MRT文湖線を改修する」と正式に発表されていました。
拙作《次は、桜》をご愛読くださった方なら、もしかすると覚えているかもしれません。
そのニュースを見た瞬間、以前T社の「火星移民計画延期から月面建設への転換」を思い出しました。
こういうのって、既視感というより「未来視」に近いのかもしれません。
過去と現在が一致するのではなく、未来と現在が妙に重なってしまう感覚。
相変わらずN社CEOは、口から次々と未来を吐き出していました。
ですが、見ていて毎回不思議になるんです。
これほど巨大で、これほど先行している企業なのに、なぜまだ加速し続けるのか。
後ろに追いつける存在なんて、ほとんどいないはずです。
仮にいたとしても、この速度には到底ついてこられない。
毎年36%、48%、50%。
性能向上の数字だけ見ても異常です。
まるで競争相手ではなく、「未来そのもの」に追われているみたいでした。
あるいは、もっと巨大な焦燥。
なんだか《アベンジャーズ》のサノスが、トニー・スタークへ言った「知識の呪い」を思い出します。
しかも、彼らが本当に見せたい「前所未見」としか言いようのない製品は、まだ正式に出てきてすらいない。
たった一つ、技術を大衆向けチップへ降ろしただけで、既存のPC業界そのものが揺れ始める。
以前の車載向け推論AIもそうでした。
業界最大手が十年以上積み上げてきたデータベースを、あまりにも簡単に飛び越えていった。
でも、それは《ドラゴンボール》のセルみたいな「全部破壊する圧倒」ではなく、どちらかというと孫悟空みたいな、「みんな一緒に強くなろうぜ」という圧倒なんですよね。
だから「降維打撃」という言葉もしっくり来ません。
むしろ「昇維打撃」。
技術格差そのものを無意味化しながら、世界全体を一段上の認識へ引き上げてしまうような感覚です。
文明って、結局は人類側が勝手に定義しているだけなのかもしれません。
では、もし人類が半導体によるシリコン計算文明以外の道を進んでいたら?
そんなことをGPTへ投げてみました。
返ってきた回答の中で一番面白かったのは、「光子技術」でした。
光で情報を伝達する文明。
ただし、それは太陽の日の出と日没に強く依存する。
――それって、植物では?
植物って、もしかして光子通信文明なのかもしれません。
では昆虫、魚類、動物は?
それぞれ別の文明として見なせるのでは?
しかも全部、同じ地球の上で共存している。
さらに細菌やダニ、寄生虫から見れば、人間の身体そのものが宇宙です。
最近「球形トビムシ類(Symphypleona)」という生物を見たのですが、あまりにも奇妙で、本当に「地球生物」なのか疑いたくなりました。
いわゆる「トビムシ」の一種なのですが、見た目はまるでピンク色の異星ウサギ。しかも跳躍力が異常で、敵の目の前から一瞬で消える。瞬間移動でもしているのかと思うくらいです。
正直、創造主がわざわざこんな生物を設計するとは思えない。
むしろ「宇宙が勝手に混沌から生成した」と考えたほうが自然に感じるくらいです。
そう考えると、そもそも「宇宙人」なんて存在しないのかもしれません。
みんな地球に住んでいる、別種の「地球人」。
人類文明は、他文明を食べながら共存している。
すごく奇妙です。
人類の観測可能宇宙は、あれほど冷たく静かなのに。
地球だけが、異常なくらい騒がしくて、密集している。
魚は、水面の外にいる人間を認識できません。
人間が水へ飛び込んだ瞬間だけ、初めて「別の存在」に触れられる。
だとしたら人類にも、まだ観測できない存在がいるのでしょうか。
その存在が、こちら側の階層へ飛び込んできた時だけ、人類は初めて気づけるのかもしれません。
人類の技術は、どこまで進むのでしょう。
「前所未見の製品」は、最終的に全部入りの怪物チップになっていくのか。
今日、技術イベントへ集まっていた人たちの目には、金額や株価しか映っていないようにも見えました。
少しだけ、寂しくなりました。
テクノロジーの本質って、何なんでしょうね。
それでも、そういう貪欲さすら受け入れながら、人類全体を
未来へ引っ張っていける人。
しかも、その欲望をちゃんと「前進する力」に変換できる人。
そういう意味では、本当に凄いと思います。
「偽善」ではなく、「極めて高度な偽装」。
……本当に、恐ろしく偉い人です。