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アドバンスド

 YouT○beで音楽を聞いていたら、デジタルデバイスの“ハッピー・ホリデー”コマーシャルが。ぬいぐるみの動物たちが記念写真を撮るというものです。かーわいー、と眺めていましたが…… 野生動物がデジタルデバイスを喜んで使うというのは矛盾ではないかしら…… それにこの製品のターゲット・オーディエンスって子どもであってはならないのでは? などと考えてしまった歪んだ大人の私です。

 そこで思い出したのが、旅行中タスマニアで聞いた話。クレイドル・マウンテン近くのAirbnbでオーナーと喋っていた時のこと。タスマニアは脱炭素化に成功し、発電はほぼ100%自然エネルギーになっていると言われています。

自然エネルギー財団
ロマン・ジスラー ”オーストラリアがクリーンエネルギー大国へ“
https://www.renewable-ei.org/activities/column/REupdate/20240605.php

オーナー「そう、近くの炭鉱も閉じてね。もっと観光に力を入れよう、っていうことになったんだけど」
私「タスマニアの森は素晴らしいですからね」
オーナー「それが今度はレアメタルの採掘が始まってさ……」
 私は特別環境問題に関心のある方ではありません(失礼)。けれども、あちらがたてばこちらがたたずだなあ…… と思いました。自然エネルギー活用のために技術開発を進めれば、今度はレアメタル採掘競争が始まる。総合的に見て、地域社会と環境に対してプラス/マイナスのどちらになるか微妙なところ。

 この複雑な関係性。職場の若い同僚はリニューアブル・エナジー・エンジニアリングの専門でして、ソーラーパネルを設置すると、各家庭にどのような利益があるのか、という話を聞いていたのですが、
同僚「ファイナンス面で考えると、“出“が購入・設置費、グリッド・タリフ、ローカル・タリフ、デグラレーション(劣化)、」
私「ビル(請求書)ちゃんと読んでないからなあ〜……」
同僚「“入り”がソーラー発電で節約できる光熱費、政府補助金、余剰発電を電力会社に売った分の収入……」
 と、ばりばり計算式を書いて見せてくれ、
私「全部変数なの?」
同僚「タリフは使用量で変わってきます。システムの大きさによって購入・設置費が異なり、住所と屋根の向き、季節によって発電量が変わります。同居人数・リモートワーク時間、エアコンやEVの導入によって日中電力消費量が……もしバッテリーを使うと…… あとCO2削減効果を考慮すると……」
私「環境エンジニアリングがすごく専門技術なのは理解した」

 政治行動に関する定量分析が専門の助教授に師事していた時に、世の中の物事は、大概複雑で、要因とプロセスについて個人が分かることなど僅かばかりである、と弁えました。

 重要なのは、「複雑である」ことを理解し、全ては理解できないことを理解し、少なくとも目的とコンセプトは抽出して頭の隅に置いておく、ことだと思っています。私の場合。単純に答えは出ないのだ。でも考え続けることを止めると、何も進まない。

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