【案内人・葛城二華より】
第10話をお届けいたします。
これまで、家の中の物語を主にご覧いただいてまいりました。第10話では、視点が一歩、外に出ます。学園の中で、あの六人がどのように見られているのか——一人の放送委員の生徒が、今回の物語の語り手となります。
それでは、ご本人にバトンを。
【柚木すず本人より】
は、はじめまして……! 高等部一年、放送委員の柚木すずです!
聖カレイド学園には中等部から通っていて、もう四年目になります。だから——三年前のあの日のことも、しっかり覚えています。当時まだ中学一年生だった私は、本校舎の廊下から見たんです。校門から、六人が並んで歩いてくるところを。
あれは、奇跡でした。
「奇跡の六花」——誰が最初に言い始めたのか、もうわかりません。でも、学園の誰もが、そう呼んでいます。あの日、一度でもあの光景を見た人なら、きっと、わかってくれると思います。
それから、ええと、私は——黒耀のランウェイの「崇拝者(アドーア)」です。あ、その、夏凪先輩のファンクラブの正式名称で……。
ご、ごめんなさい。夏凪先輩のお話を始めると、指先が震えてしまうんです。これは、本当です。
第10話、最後まで聞いていただけたら、本当に、嬉しいです。
【案内人・葛城二華より】
すずさんについて、少しだけ補足いたします。
聖カレイド学園には、いくつかのファンクラブが存在いたします。朝霧家のお嬢さま方それぞれにファンの方々がいらっしゃると、ひとまずはお考えください。すずさんは、その中の一つ——夏凪さんの集団に所属しておられます。
ただし、一つだけ、どうしても立ち上がらないファンクラブがございます。お名前は何度も挙がるのですが、そのたびに、誰かによって、静かに、見事に、立ち消えになっております。誰の話なのかは——ご想像にお任せいたします。
それから、もう一つだけ。第2話で、夏凪さんが街で迷われ、あの方に拾っていただいた場面を覚えていらっしゃいますか。第10話では、その構造が、学園の中で静かに反復されます。誰が、誰を、案内するのか。立場と役割が、ほんの少しだけ、入れ替わります。
【お礼の言葉・美琴二凛より】
第10話まで、読んでくださって——ありがとうございます。
二桁、ですね。プロローグから数えますと、十一回目になります。
応援もフォローも、いただくたびに、本当に嬉しくて。皆さんが、この家のお話を見届けてくださっていること——その一つひとつが、次の一話を書き進めるための、大切な灯りになっています。
第10話は、家の外から、夏凪さんを見る回です。学園の中の、一人の女の子の目を通して。
これからも、よかったら——もう少しだけ、一緒に見届けてもらえたら、嬉しいです。
※本作のイラストはAIを用いて制作していますが、キャラクター・服装の設定および最終選定は作者によるものです。
