【案内人・葛城二華より】
第22話をお届けいたします。
前回、春祭りの賑やかさの中で、事務所に九名が集まりました。今回は、打って変わって、静かな夜のお話です。
六花円舞曲の、就寝前のひととき。あの家には、おやすみの訪問に関する、姉妹たちが自分たちで決めたルールがございます。一人あたりの時間、訪問の作法——詳しくは本文に譲りますが、ルールがあるということは、それだけ「おやすみ」の一言に重みがある、ということでもございます。
今回、新しい人物は登場いたしません。じゅんさんと、六人の姉妹だけ。舞台は二階の廊下と、一つの部屋。
六人がそれぞれ、違う時間に、違う温度で、同じ扉の前に立ちます。和歌を携えてくる方がいらっしゃいます。お茶を手にいらっしゃる方がいらっしゃいます。寝言しか届かない方もいらっしゃいます。——そして、誰よりも早くリビングを出て、誰よりも遅く「おやすみ」を言う方が、一人。
どなたのことかは、もう、おわかりかもしれません。
私が申し上げられるのは、ここまででございます。あの家の夜は、私どもの立ち入れない場所です。けれど、朝になって、じゅんさんの机の引き出しに、昨日はなかったものが一つ増えている——そういうことが、ときどきございます。
静かな夜を、どうぞ最後までお付き合いくださいませ。
※本作のイラストはAIを用いて制作していますが、キャラクター・服装の設定および最終選定は作者によるものです。
