第十一話「聖カレイド学園七不思議」に添えるコメント

【案内人・葛城二華より】
 第11話をお届けいたします。
 第10話で、家の外から夏凪さんを見つめる視点をご紹介いたしました。第11話では、その語り手の方が、もう一歩、学園の奥へと足を運びます。
 今回、あの方の——朝霧家の話題を、いったん脇に置きます。代わりに、聖カレイド学園そのものに目を向ける回でございます。校舎のどこかに、ずっと前から漂っている、けれど誰もまとめたことのなかった不思議。それを、放送委員の鼻が、たった一日で七つ拾い集めてしまいます。
 それでは、今回もご本人にバトンを。
【柚木すず本人より】
 あの、こんにちは。柚木すずです。第10話に続いて、今回も語り手をやらせていただきます。
 実は、先週の放送で「奇跡の六花」のお話をしてから、ちょっと——そう、ちょっとだけ、ネタが切れてしまって。同じ路線をまた使うわけにはいかないし、でも放送委員として、何か面白いお話を届けたくて。
 それで、思いついたんです。この学園にいると、ときどき空気が変わる瞬間があるなって。言葉にできない「何か」がある気がするなって。——だったら、それを集めてみたらどうだろう、って。
 ノートとペンを持って、一日かけて、校内を歩き回りました。話を聞きました。たくさんの人に。そうしたら——気づいたんです。
 七つ、ありました。
 七不思議です。誰もまとめたことのなかった七つの不思議が、私のノートの中で、勝手に揃ってしまったんです。
 もう一つだけ、お伝えしたいことが。今回、ずっと隣にいてくれた、文芸部の一年生がいるんです。一ノ瀬小春ちゃん、って言います。最初に図書室で話を聞かせてくれてから、私の取材に最後までついてきてくれました。あの子の感性は——なんて言うんだろう、すごく、優しいんです。
 不思議を、不思議のまま、受け止めてくれる人。そういう感じです。
 第11話、最後まで聞いていただけたら、嬉しいです。
【案内人・葛城二華より】
 少しだけ補足いたします。
 七つの不思議——どれも、あの方のご家族や、学園の関係者の方々の、日頃の振る舞いから生まれた波紋のようなものでございます。
 すずさんはご存じありません。小春さんもご存じありません。お二人とも、ただ、不思議を不思議として、誠実に拾い集めていらっしゃるだけです。
 ——皆さまの中には、この不思議について「ああ、あの方のことだ」と、お気づきになる方もいらっしゃるかもしれません。けれど、まだ皆さまにご紹介していない方々の影が落ちている不思議もございます。今は、まだ、おわかりいただけなくて構いません。やがてその方々が物語に現れたとき、「あのときの不思議は、この方だったのか」と、もう一度この回を思い出していただけたら——案内人としては、それが何よりの喜びでございます。
 最後に、一つだけ。すずさんが取材の途中で、ふと、こんなことに気づかれます。
「この学園って、大きな事故が一度もない」
 その場では、誰も深掘りいたしません。すずさんもノートの隅に小さく書き留めて、次の不思議を探しに歩き出します。——ただ、その一行は、消えずに残ります。
※本作のイラストはAIを用いて制作していますが、キャラクター・服装の設定および最終選定は作者によるものです。

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