物語の面白さは、派手な展開よりも「納得感」で決まることがある。
今日もランキング巡回。今回読んだのはこちら。
『戦闘では役立たずのレアジョブ「ドローン操縦士」を手に入れた俺、配信やら輸送やらの仕事をしていたらいつの間にか最強の艦隊を手に入れてました』
https://kakuyomu.jp/works/822139836954468529タイトルを見る限り、よくある“不遇ジョブ成り上がり”ものだと思った。
ただ「ドローン操縦士」という聞いたことのない設定に少し興味を惹かれて読み始めた。
舞台は、ダンジョンが生まれて20年が経った日本。
主人公はドローン操縦士というジョブに覚醒するものの、戦闘にはまったく向かない能力だった。
外れジョブにやる気を失い、引きこもってゲーム三昧の日々を送る主人公。
そんな中で、シングルマザーの母が倒れる。現代医学では治療法がないという。
母の治療と残された妹を養うため、主人公は家の貯金を使ってドローンを購入し、ダンジョンに潜るパーティー向けの配信業を思いつく――という導入で物語が始まる。
女手一つで倒れるまで働き、主人公を大学に通わせてくれていた母。
それでも不遇ジョブに覚醒したことで周囲の目を気にし、入学からわずか一か月で引きこもってしまう主人公に、好みの違いを感じつつもまだあり得る話と納得できる。
ただ、正直なところ――その後の判断になると、話は変わってくる。
家族の貯金120万円をほぼ使い切って機材を購入するという判断が、あまりにも無計画に感じられる。
すぐに収入が得られなければ、母と妹の生活はどうなるのか。
その危機感が、どうしても伝わってこなかった。
そして一番気になったのは、
この作品の展開が「リスクを背負った選択」ではなく、
「成功が前提の選択」に見えてしまう点だった。
結果として、幼馴染のパーティーに受け入れられ、配信はバズり、大金を得る。
しかし動画収益が即日で反映される点など、現代ファンタジーとして気になる部分がどうしても目につく。
こうした細部の処理も含めて、現実との接続にやや甘さを感じた。
読み進めるほどに、
「物語が主人公の選択を肯定するために進んでいる」
そんな印象が強くなってしまった。
だめだ。どうしてもこの主人公を受け入れることができない。
浅慮な判断と、その浅慮さが結果的に肯定されてしまう構造。
無計画な投資も、収益化の早さも、すべてが「成功することを前提にした選択」に見えてしまう。
その違和感が、最後まで拭えなかった。
問題なのは、主人公が浅慮なことではない。
むしろ若さゆえの無計画さ自体は理解できる。
ただ、その判断に対して、
世界側からの“失敗の反作用”がほとんど存在しないため、
選択に緊張感が生まれていないように感じた。
ランキング上位の作品であっても、自分の好みのフィルター
「都合の良さよりも、納得感を重視する」
この基準を通すと、読める作品はどうしても限られてしまう。
それでも巡回は続ける。
時々、本当に面白い作品に出会えるからだ。
さて、次はどんな作品に出会えるだろうか。
今日もまた、ランキング巡回の続きだ。