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粋はわからずとも


 無粋が何たるかは理解しているつもりだ。

 観光地に出向いて「たっけーなーオイ、どいつもこいつもドブに金落として、おめでたいこったねー」とのたまうことだ。

 瞬間の歓びに対し、長いスパンで物申すことだ。

 昔は自分も無粋だった。野暮なツッコミをして、それで自分が賢いと思っていた。

 無粋な意見の過半数は正しい。が、つまらない。
 あらゆる粋にケチをつけていたら、しまいには無粋であることが趣味になってしまう。
 ケチを付けることが自分の役割なのだと、必死に思い込むようになってしまう。

 散財をしろ、カッコつけろと言っているわけではない。
 常日頃のありがたみに目を向けつつも、乗れるときに乗っておいた方が、楽しいだろうということだ。

 結局は「そんなこと皆解って楽しんでんだよ」ということに、今更気づいたという話だ。

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