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AIを使いたくなる作品、そうでもない作品


 そろそろ毎年恒例のイベントが出てくるはずだ。

 ということで過去の作品をパラパラと眺めていた。

 とりわけ印象深いのはこの作品だ。

終末タスク
https://kakuyomu.jp/works/16818093072935470415

 全人類が社畜と化した世界で、主人公が終わってる数のタスクをこなすというSFホラーである。

「3分以内にやらなければならないことがあった」という書き出しが強制され、ボーナス条件として「全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ」を含める必要があった。

 未来の社畜像を思い描いていたところにちょうどこのテーマが来た。
 部分のエピソードを考えるのはできても、全体的に違和感なくつぎはぎする能力に欠けている私は、SFだから、アーカイブデータだから、と言い訳をつけてエピソード間の空白を「察してもらう」形で出した。

 今となっては、悪くない結論だったと思う。



 作品の執筆時(2024/3)、まだAIはここまでWeb小説で脅威にはなっていなかった。「AIのべりすと」など、兆候となるサービスはあったが、まだまだ連想ツールの域を出ていなかった。

 今、同じテーマが出てきたとして、私は「終末タスク」を自分で書くより、プロンプトに流し込むだろうなと思った。 そして、未来の社畜像というテーマの作品は今も下書き状態だったであろう。
 そういう意味では、時期が良かった。


 日頃の舌打ちを表現するのにAIは向いてない。いくら高速で話が作れるとは言え、メリットがそこまで大きくないし、そういう感情的なものは感情に任せたまま書いたほうが勢いがあって面白くなる傾向にある。
 毎日投稿とか、「毎秒投稿」を謳い文句にしてる作家なら話は別かもしれないけども。

 逆に本当に思い入れのある作品にも適用しづらい。こっちが結構悩ましい。
 自分は機微を描くのが苦手で、せっかく作るのだから広く読まれる作品を書きたいわけで、そのためにも必要条件たる機微成分を足したいなあと思うのだ。

 しかし思い入れが増えると「こうじゃない」が増えてくる。AIは80点は出せるし、作者の100点がそのまま読者の100点とは限らないので、適用すればいいじゃん(出してから推敲じゃダメなの?)と常日頃思ったりするわけだが、たぶんダメなのだ。
 それをやると、全部やりたくなるし、この作品の大元のテーマってなんだっけってなる。自分が入り込んでいる度合いが多くなるほど、齟齬も激しくなるのだ。特に偏屈な人物のそれはより大きい。

 別にノルマとしてこなすための作品なら、ガンガン適用して終わらせればいいんだけれど。



 話が長くなったが、自分の経験上、AIを積極的に適用したくなる作品とは、ミッドレンジ(中距離)、感情の書き捨て以上、作者愛が重い作品未満ということだ。
 作品愛のMAXを100だとすると、11以上、90以下くらい。

 相当広い。これに加えて、誤字脱字、初歩的な文法チェックといったストーリーには何の影響も与えないが、やるに越したことはない作業への適用ケースも含めれば、
 よほどのこだわり(あるいはプロンプトを打つことすらどうでもよくなるテーマ)がない限り、AIを適用した方が楽になることだろう。


 まあ、欠点がないでもない。一般的なモデルだと反社会的な思想、犯罪、性的描写はちょっと工夫しないと出力されないし、
 大前提として、AIの出力は統計的に平仄化されているため、個人のディープなものを描くのには向いていない。
 その人個人に特化した……ガードレールも取り払ったAIを自作すれば話は別かもしれない。
 それが執筆用途に用いられるかは、またさらに別の話。

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