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凡人は線を伸ばすだけよ


 カクヨム様が10周年とのことで催しをするらしい。

 なんか10種類のテーマの中から選んで書く、それは1つしか投稿できないとのことだ。
 この制約については「記念すべき舞台にAIが5分で書いたような捨て作品を出してくれるな」という意思表明と受け取った。

 テーマぴったり……とまではいかないが、こじつければなんとか入れられそうな話がひとつあるので、これをブラッシュアップしようかなと思う。
 想定している季節と違っているので、ちょっとうーん、とも思うのだが、温め過ぎてもカビてしまう。ちょうどよい機会だ。



 不確定要素に期待することをやめて一年が経とうとしている。
 期待することはエネルギー消費が激しいし、望んだ見返りが来ることは滅多にないからだ。

 パチンコや宝くじに精を出す様子を見て「あんな分の悪い賭けに出るとか」と嗤う人々は、自分の将来設計が実のところかなり危ない橋を渡っていることを思いのほか知らない。

 それは天才と呼ばれる人も同様だ。常人よりも遥かに大きく、美しい点を打つことができる彼らもまた、誰一人として賭けから逃れられない。
 不世出の才人は予想以上に多くいる。

 そして今となっては、点はその大小に限らず、夥しい数画用紙の上に踊り、グロテスクな模様を象っている。何かをやること自体に、その意義が薄れてきている。 

 そういったいちいちを考えずにはいられない凡人の私は、ただぼんやりとし、やがて、ひっそりと薄い線を引くことにした。
 確定している物事であっても、認知が歪めば途絶えてしまう。つまりこの行いもまた、結局のところはただの慰めでしかない。けれども、静かに引いている間だけ、疲れが癒される感覚がある。その感覚に沿って体を動かし、意思をめぐらせる。

 線の先はずっと白紙が続いている。

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