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【感想のお部屋】 『七夕夜行と、五色そうめん』 その1  〜 夏の食卓から始まる冒険 〜




※※ はじめに ※※

この小部屋を見つけてくださって、ありがとうございます。
こちらは、わたしがkou様の作品を読ませていただいたときの、感想などを綴っているお部屋です。
今回はこちらの作品です。

『七夕夜行と、五色そうめん』 kou 様

https://kakuyomu.jp/works/2912051603924553748
※※ 以下、ネタバレを含みます ※※

(この感想を書いている時点の最新話は
 『第3話 這い出た影』です)









⚫︎ 夏の日に似合うふたり

kouさん新作は、大空勇輝くん・澪さん兄妹が主人公のお話⚽️🖍️
大空兄妹といえば、『静か餅とふたりのメロディ』(https://kakuyomu.jp/works/16818622175558198662)での夏休みの印象が
わたしの中では大きくて。
蒸し暑い日々が続く今の季節に、かわいいおふたりのお話を読めるというのは、とても嬉しいタイミングでの登場です✨

ふたりは、年齢で言えば一つ違いなのに、勇輝くんはとっても“お兄さん”に感じます。
だからこそ、妹の澪さんはお兄ちゃんにすっかり甘えることができるのだなぁ、とおもいます。
澪さんがお兄ちゃんの作った錦糸卵を、まるで子猫のようなかわいさでつまみ食いをしようとし、勇輝くんがそれを嗜める場面にそれを感じました。

甘えてるというか……尊敬してる感じですよね。
そう感じたのは、椎茸の煮詰め方についての、このシーンです。

   「この前、友達の小日向優太に教わったんだ。あいつ凄く料理が得意でさ、煮物とか何でも上手に作るんだぜ」
   「えー、すごーい。私、お料理は苦手だから、お兄ちゃんが羨ましいな」
    澪は目を輝かせて兄を賞賛した。
   (第1話より)


   (本題の前に……。“小日向優太くん”ではないですか! Crossover最高!)
ここは、澪さんが「椎茸の煮詰めることができる兄」に感心した後に、勇輝くんが“友人の優太くんに教えてもらい”尚且つ“あいつすごいんだぜ”と、優太くんを褒めた場面ですよね。
それなのに、「へぇ、お兄ちゃんのお友だち、すごいね!」とはならずに、“お料理ができる兄を相変わらずに尊敬している”んですよね。
きっと、キラキラしたお目目で兄を見つめていたんでしょうねぇ。



⚫︎ 五色そうめん



夏の暑い日に、冷たく冷えたそうめん。
本当に美味しいですよね。
五色そうめんは、言うなれば“冷やし中華”みたいな感じですね。
冷たく冷えた“五色そうめん” 想像しただけでひんやりと気持ちよく感じます。


勇輝くんは平然と作っていましたが。


五色そうめん、
冷やし中華って。
なかなか時間がかかる物ですよね。


冷やす前に“茹でる”訳で。それがまた暑い!
大鍋で大量のお湯を沸かし麺を茹でる。

そして、きゅうりやハムを事前に細切りにして冷やしておく。

椎茸に味が染みるように鍋への注意を忘れず、果ては“錦糸卵”!

破れないように、一枚一枚クレープ状に焼いて、冷やして、千切りして。



……それを作る小学生男子。本当に偉いです。頭が下がります。
そんなに美しく、それも美しい心で作った五色そうめんだもの。
天の川の扉も開くはずです。



⚫︎ 白いもふもふ(*´꒳`*)

勇輝くんが作った五色そうめんをふたりで仲良く「「いただきます」」を言って食べようとしたとき。
その「「いただきます」」が天の川の通り道を開く“ひらけ、ごま”だったかのように、
かわいいこが白い煙と共に出現します。


    煙がフワリと晴れたとき、お皿の真ん中に、見たこともない生き物がちょこんと座っていた。
    それは、大人の手のひらに収まるほどの、真っ白な狐だった。
    絹糸のようにフワフワとした純白の毛並みに、ピンと立った大きな耳。その耳の先は、まるで夜空の星屑を散りばめたように、金色にキラキラとまたたいている。キツネは、そうめんの麺を汚さないように、ふさふさとした尻尾を器用に持ち上げていた。
   (第1話より)



五色そうめんの真ん中に登場するのも意外でおもしろかったのですが、特にここが好きです。

   

   「ふぅ、危ないところだった。危うく、尻尾が冷たい麺に浸かるところだった」
   (第1話より)

かわいい(*´꒳`*)
星狐(せいこ)ちゃんの登場です。
「そうめんの麺を汚さないように、」もそうなのだと思いますが、
自分の自慢の白いふさふさを、大切にしているんだなぁと感じました。
うふふ。かわいい🤭



⚫︎ 魔除けの結界が薄まっていた

「季節の行事をおろそかに」したせいで、「底知れぬ闇に封印されていた『忘れ去られた影』」が暗躍してると話す、星狐さん。

   「そうだ。『忘れ去られた影』は疫病の化身だ。この町に解き放たれれば、町はあっという間に冷たくて暗い影の霧に包まれてしまう。そうなれば、病気が流行り、みんなの心から温かい笑顔や、楽しかった思い出まで、すべて綺麗に消し去られてしまうだろう」
   「そんなの、絶対に嫌!」
   (第2話より)

……澪さんの叫びに、わたしは『お天気自販機』(https://kakuyomu.jp/works/822139843018968873)を思い出してしまって、心臓がギュッとしました。(未読の方のために多くは語りませんが。あのお話も大好きです)

そんな「冷たい病に飲まれてしまう」ことを「防ぐ唯一の方法」が“五色そうめん”だと、星狐さんは言います。

   

   「ここにあるではないか。君の並々ならぬこだわりが生み出した、完璧な配置の五色そうめんが。これほどの調和を持ったものは、今のこの町には他に存在しない。君が作ったそうめんこそが、町を救う魔法のお供えものなのだ!」
   「僕の、そうめんが……?」
   (第2話より)

勇輝くんのそうめん、すごい!
そうだよ、先程も述べましたが。大変なんだよ、“五色そうめん”を作るのは!
それもバランスよく調和の取れた美しいそうめん。

    ただ綺麗に盛り付けただけの料理が、町を守る鍵になるなんて、にわかには信じられない。失敗したらどうしようという、冷たいプレッシャーが胸を押し潰しそうになる。
   「お兄ちゃん、行こう!」
   (第2話より)

そうなんですよね。勇輝くんはいつも少し自信がなくて、一瞬躊躇する。
でもそんな時はいつも澪さんが「GOサイン」を出すんですよね。
「お兄ちゃん、行こう!」と。
もちろん、澪さんは好奇心の塊から走ってしまう時もあるけれど、
いつだって勇輝くんは一瞬感じる恐れを
トルメキアのクシャナ殿下@ナウシカの「焼き払え!」の如くなる一言で、前を、未来を信じて進んでみよう、という気持ちにさせてくれる。


…純粋が故の“怖いもの知らず”という側面も拭えませんが。



⚫︎ 描写、描写!!



第3話に入ってからの『忘れ去られた影』の描写。

一気にホラー小説になりました!

ホラー得意な訳ではないわたしのはずですが

なんだかとてもわくわくしました(なぜ?)

考えるに。

kouさんのこのような描写を、新作で久々に拝見したからなのかな、と。
読者に心理的に迫るホラー描写を、kouさんがきっと嬉々として描いているように感じました。
kouさんの作品を読んできて、ホラーの描写に耐性がついてきたのかも知れません。

さぁ、タッパーに綺麗に入れた“五色そうめん”は無事に届けられるのか。
続きが待たれます✨

今回は『七夕夜行と、五色そうめん』第1話から第3話までの感想をお届けしました。



では、また『感想のお部屋』でお会いいたしましょう👋
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。








kou様へ

新連載の開始、嬉しいです!

それも大空勇輝くん澪さんのおふたりで。


前作『お天気自販機』もとても素敵なお話でした。
日常生活の中でも、
急に雨が降ってきたら、

「あら。澪ちゃん。日直が一緒のあの男の子と一緒に帰るために『しとしと緑茶』を飲んだのかしら」

なんて、時々考えてしまいます。
本当に大好きなお話です。



それと。
「季節の行事をおろそかに」という本文部分。

うーん。

わたしもそれなりに人生長く生きてきてますが。

なんというのか。「ハレ」の日も、普通の一日とするような世の中になったと言いますか。

それを批判してる訳でもなくて。



例えば、わたしが小さい頃は、お正月に向けて、家族それぞれのお茶碗とお箸を新調していました。
一年のけじめとして新しい食器でスタートする、そんな家庭の空気でした。
うちだけではなかったと思います。


でも今はそういうこともあまりなくなりました。


お正月は初詣に行くと晴れ着の人が多かったけれど、
今は普段着も多いです。(普段着も晴れ着くらいに経済比重をかけている、というのもあるかしら)

そういうことに縛られることはないけれど。


昨年、東南アジアへ行ったのですが。

そこは“常夏”で。

一年中、気温も天気も変わらない訳です。雨季乾季はありますが。



そうなると、一年中、Tシャツと半ズボンで過ごせるんです。
秋冬にマフラーでおしゃれする、とかそういう情緒もない。


少し、物足りないように感じました。


日本にはせっかく「四季」があって、季節の移ろいを感じる文化があって、
そういう風土だからこそ、美しい言葉も発展したように感じています。
とにかく、日本語は本当に美しい。そう感じています。



第3話は、7月15日 朝7時57分の更新でした。

偶然なのかも知れませんが、タイトルの「七」と「五」を彷彿とさせる数字の羅列に
朝からくすっと笑顔になりました。




これからの連載も楽しみにしております。





毎日「暑いですねぇ」という挨拶が交わされる季節になりました。

お身体にどうかお気をつけてください。

目の疲れには「めぐりズム」が、なかなかいい仕事をしてくれますよ。
どうか
お大事にしてくださいね。



1件のコメント

  • 金時まめ様

    新連載の開始にあたり、これ以上ないほど温かく、そして愛にあふれたご感想を届けてくださり、本当にありがとうございます!
    まずはまめ様ご自身もお忙しい中、こうして一文字一文字に想いを込めて、細やかな視点で作品を受け止めてくださったことに、心から感謝申し上げますと共に、私の方は連日の暑さの中、変則勤務に夜勤をしていて、返信が遅くなりました。
     切っ掛けは、七夕の時。
     Googleで七夕をみると、そうめんがある。
     そこで知る、七夕にそうめんを食べる風習があることに。
     私は、知らなかった。
     クリスマスにケーキ、年末に年越しそば、正月におせち、近年ではインターネット掲示板「2ちゃんねる」から始まった台風にコロッケというものがあります。
     伝奇作品が好きな私は、風習や迷信が好きなのですが、七夕にそうめんは知らなかった。
     七夕にそうめんを組み合わせた物語が書いてみたいと思って書き始めたのが、この作品です。

    『静か餅とふたりのメロディ』での大空兄妹を今でも大切に覚えていてくださり、今のこの蒸し暑い季節に再び彼らの物語をお届けできたことを、一緒に喜んでいただけて何より嬉しいです。
    一つ違いの兄妹ですが、おっしゃる通り、勇輝の少し不器用ながらも生真面目なお兄ちゃんらしさと、そんな兄をからかいながらも誰よりも尊敬し、いざという時には背中をどんと押す澪のバランスは、書いていてとても愛おしい二人です。
    二人の性格を完全に決めないで『ブレイザーズ』を書きましたが、色々書いてきて、ようやく二人の性格というものが分かってきた気がします。
    妹・澪は好奇心旺盛で突っ走る(ゾンビ映画を見ながらフライドチキンが食べれる。私は子供頃は、ジャンルとしてホラーコメディ『バタリアン』でも怖かった)、勇輝は慎重派で行動に冷静さがある。
    「焼き払え!」の例えには、思わず納得してクスリとしてしまいました。
    まさに、勇輝の一瞬の躊躇を吹き飛ばすのは、澪のあの曇りのない純粋な「GOサイン」なんですよね。
    そして、あの小日向優太くんの登場(クロスオーバー)に即座に気づいてくださり、大興奮していただけてビックリしてしまいました!
    そうです『僕が、お姉ちゃんを満足させてみせる!』の料理好きな彼を覚えて下さっていて驚きと共に嬉しいです。誰も気づかないだろうけど、あとがきで、名前での出演です。と明かそうと思っていたのですが、見破って頂き、とても嬉しい(^^)
    また、勇輝が作る「五色そうめん」の、あの気の遠くなるような調理工程の「大変さ」を、まるでご自身がキッチンに立っているかのように細やかに労ってくださり、作者として「そう、本当に大変なんだよ、勇輝偉いよ……!」と、深く深く頷いてしまいました。
    なぜなら、私はいつも、真っ白な、そうめんだから(^^ゞ
    茹でるだけでも暑い夏の日に、錦糸卵を焼き、椎茸を煮詰め、きゅうりやハムを丁寧に刻んで、それらを完璧に美しく並べる。
    そんな勇輝の「並々ならぬこだわり」と「美しく優しい心」を、金時さんが誰よりも深く理解して言葉にしてくださったこと、勇輝もきっと救われる思いだと思います。だからこそ、天の川の扉が開き、あの白いもふもふの「星狐」が現れてくれたのだと思います。
    星狐が自慢の白いふさふさの尻尾を汚さないようにしている部分に「自慢の白いふさふさを、大切にしているんだな」と金時さんが微笑んでくださった解釈、本当に可愛らしくて大好きです。
    『お天気自販機』の澪ちゃんのことを、今でも雨の日などの日常のふとした瞬間に思い出してくださっているというお話には、書き手として言葉にできないほどの感動を覚えました。物語が金時さんの日常の一部として、優しく息づいていることが本当に幸せです。

    「季節の行事をおろそかに」
    確かに、それは私もです。
    日本の風習、伝統も時代とともに変化をしてく。
    でも、決して毛嫌いしている訳では無い。
    絵本『しばわんこの和のこころ』シリーズを読むと、この日本に生まれて良かったと思えました。
    金時さんが綴ってくださった、日本の「ハレの日」の空気や、かつて新調していた食器のお話、そして東南アジアへの旅を通して感じられた「四季の情緒と日本語の美しさ」についてのメッセージ。
    どれも本当に深く胸に沁み入りました。
    まさに、行事をおろそかにすること=季節の移ろいへの丁寧なまなざしや、他者を想う「情緒」を忘れてしまうことへの寂しさが、今回の「忘れ去られた影」の根底にあるテーマになったのかなと思いました。
    金時さんのような温かい感性をお持ちの読者様に、この物語の核心にあるメッセージを受け止めていただけたことは、何よりの喜びです。

    第3話からの少し不気味なホラー描写も、ワクワクしながら楽しんでいただけてホッといたしました。
    『忘れ去られた影』の怖さを楽しんで下さり、うれしいです。
    私もホラーは苦手、と言いつつも、あの怖さがたまらなくて映画やゲームのそれ系が好き。
    対抗する力で戦うのも良いですが、ホラーは逃げるしかない。ここれが良いと思って、二人に隠れてもらいました。
    隠れる、逃げるしか選択肢のない怖さを楽しんで頂けたのでした、この上ない喜びですよ。
    お察しの通り、少し嬉々として筆を走らせていたところを見抜かれてしまったようで、少々照れくさくもあります。
    そして、更新時間が「7時57分」という「七」と「五」の数字の羅列になっていたこと。定期的6時に更新したい気持ちはあるのですが、読んでいると、ここも、あそこもと修正をして、あのような時間になりました。
    まったくの偶然ですが、金時さんの鋭い観察眼には、驚きと共に朝から笑顔をいただきました! 私自身も気がついていなかった、天の川がくれたような小さな偶然のプレゼントですね。
    金時さんに教えていただけて、とても温かい気持ちになりました。
    物語はここから、さらにハラハラとする逃走劇、そして頼もしい先輩たちとの出会い(こちらもクロスオーバーですが)へと繋がっていきます。
    タッパーの中の一糸乱れぬ「完璧な盛り付け」を、彼らは無事に届けることができるのか。ぜひこれからの大空兄妹の冒険も、最後まで温かく見守っていただければ幸いです。
    毎日うだるような暑さが続いております。金時さんもどうかお身体を最優先に、無理をなさらずにお過ごしくださいね。

    目に良いという「めぐりズム」、私は目薬派だったのですが、温めることで疲労を取る方法もあるのですね。
    そう言えば、家族が電子レンジで温める小豆アイマスクがあったハズ。さっそく今夜にでも試して、ブルーライトに疲れた目を優しく労ってあげようと思います。素敵なアドバイスをありがとうございます。

    金時さんの日々が、天の川のように美しく穏やかな光で満たされますように。
    また感想のお部屋でお会いできるのを、心より楽しみにしております。
    ありがとうございました。
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