なんだろう。文体遊びの一環で、自作の関係で『英文直訳文体』みたいなのを研究してるんですが。
いっそ英文を書いて、日本語翻訳にぶち込んだらええんやないか? とか思ったりしつつ。
この数週間頭を抱えてます。
これが、中々に難しくて。
でまあ、ちょっとした相談、いや、意見が聞きたいんすけどね。
今日公開した話、その冒頭辺りを『直訳っぽい文体』に差し直すか『言語的な歪み文体』を維持するか悩んでまして。
『インターネットの光が青いのはね、君に青空の下を歩いて欲しいからなんだと思う。本物の愛よりも、自由な愛が欲しいから――大真面目なリプを測る定規と、古参勢による怒涛のコピペの狭間でさ……。万が一の為に一応言っておくけど、ほら、やっぱりフォロバされてない」
生配信の画面の中で、私の推しの顔は青い光に照らされている。それは一つの病気だ。朝から晩まで他人の真似をする、まるで化学療法のような。当然、無数のカルテが私の脳裏を過る。
『この世界は壊れてる――君に甘い夢を見せてあげたい。痛いよね? 怖いよね? なんとなく死にたい、でも……え、あ、なるほどね、そうかも?」
まつげを整え、メイクを直し、雑談をする。
ログインするアカウントを間違えてしまい、私の指は「バカ動画」タグのぶら下がった配信画面の前で凍りついていた。
『君と一緒に死にたいかも――夢から覚めなくたって良いし、現実からログアウトしちゃえばいい。どうせタイパも最悪だしね』
ンパ。彼女はリップを塗り、唇を鳴らす。
配信画面を鏡代わりに映しているのだ。手慣れた仕草。
『シンパシー、シナジー、シェアに共通しているのは、最終的に同化してしまうこと。あ、みんなも明日が怖いの? そっか。誰も彼も、絶対にみんな忘れちゃうんだよね。恋に落ちそうな気分。ここに居るみんなは、なんとなくあっさり死ねたらいいのにって思ってるタイプでしょ。周りには悲惨なことしかないのに、幸せになれるかどうかもわからないし……。あ、ああ……鬱になってきたかも……?』
青白い闇。推しのチーク、アイシャドウ、口紅。
『はぁ……』
彼女の発したため息がマイクをかすめ、私の鼓膜の奥を震わせる。彼女の声の波形は、角砂糖の形をしていた。
『A、F、K』
それは前夜のことだった。
私の推しは萌えを発信し、ひとり微笑んでいた。
無垢で、邪悪で、悪意に満ち、壊れていて、脆く、甘く、そして有毒。
彼女は鮮烈に燃え盛っていた。それは宇宙色の鱗粉が爛れ、羽が枯れ果てていく画面のようだった。
アポトーシスだったのか、それともネクローシスだったのか。私は延々とその問いの前で迷い、考え続けている。
私の本名のアカウントに目をやると、退屈な漢字の羅列に心拍数が僅かに上がった。
画面の向こうにいるのは、病んだ少女。
それは遺伝子に予め組み込まれていた計画的な細胞の自殺だったのか、それとも外部の衝撃によって引き起こされた予期せぬ細胞の壊死だったのか。
私の臨床診断。
精神的に極めて不安定、中程度の薬物依存、そして脊髄はASMR(自律感覚絶頂反応)によって完全に焼き切れている。
推しが炎上する――私の推しは、完全に狂ってしまっていた。
最後、彼女は心酔する信者達と共に、廃墟の中で燃えた。
円の中心には、手首を縛られて十字架に吊るされた私の推しがいた。燃え盛る彼女は、焼け焦げて溶けていく角砂糖のようだった。
薔薇の蜜の甘ったるい香り。サヨリの乾いた鱗のように剥がれ落ちていく彼女の皮膚。
まあ、いい。
それは単に……何だったか。
それが何度も繰り返された自傷行為の痕跡であると診断するのに、大して時間はかからなかった。それはただ、熱心に勉強し、なんとなくの適性に恵まれた一人の医学生の物語に過ぎない。
みたいな? なんだろ、削らないイメージですね。それ、とか、まるで、とか、みたいに、とか。人称や、カメラワークの補助をちゃんとする感じで。
これはこれで、良いんですよねー……。
って、感じで同じシーンを何通りか書いてたんすよけど。英文でも書いてて、めっちゃ時間掛かってました。うーん、みたいな。
選ばれたのはあれなんすけど、悩んでるんすよね苦笑
珍しく、ちょっと本気度が高かったんすよねー。
で、そうした欲求は更に進化してサブタイトルに押し付けてます。