概要
「その体、いらないなら寄越しなよ」――死の淵からの声に僕は
死にたい僕を救ったのは、絶望さえ「横取り」しようとする化け物だった。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!これが「もったいないおばけ」ですか
成程、確かに自ら命を絶って一つ死体を作るよりは、体だけ別の存在に明け渡した方が合理的ですね。
良いですね、この善意と利己的な考えが入り混じった、一方的な身勝手さ。
実に人外らしい価値観で、好感が持てます。
そして、肉体の本人が抱えている絶望も、その存在からすれば肉まんの温もりや布団の柔らかさ以下の取るに足らないものだと断ずるのも、中々人外らしい価値観が滲み出ています。
まぁ、言われた側からすれば、自分の抱える深い絶望を軽んじられたみたいで身も蓋もないのですが。
しかし、この人外的な価値観に触れたおかげで、主人公はある種の気付きを得ます。
最終的に、彼の取った選択肢とは。
決して心から救われ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ケチで結構
高架橋の淵は、死の淵だった。
自ら命を終わらせようとしていた主人公の背中に、「それ」は声をかけた。
「その体、いらないなら寄越しなよ」
引き渡すときに苦しみはなく、一瞬だと「それ」は言う。
意識が消えたら、「それ」が入り込む。
それからは「それ」が自分として、適当に生きてくれる。
自分はもう、何も考えなくていい――
化け物を前にした、主人公の心の動きが新鮮でした。
悲しみの度合いは人それぞれなので、誰が強くて誰が弱かったと一概には言えないでしょう。
そんな中でも、暗闇の底で低く、力強く唸りを上げる主人公の命のエンジン音が聞こえてくるような気がします。
ラストの一行、最高にカッコよかった…続きを読む