高架橋の淵は、死の淵だった。
自ら命を終わらせようとしていた主人公の背中に、「それ」は声をかけた。
「その体、いらないなら寄越しなよ」
引き渡すときに苦しみはなく、一瞬だと「それ」は言う。
意識が消えたら、「それ」が入り込む。
それからは「それ」が自分として、適当に生きてくれる。
自分はもう、何も考えなくていい――
化け物を前にした、主人公の心の動きが新鮮でした。
悲しみの度合いは人それぞれなので、誰が強くて誰が弱かったと一概には言えないでしょう。
そんな中でも、暗闇の底で低く、力強く唸りを上げる主人公の命のエンジン音が聞こえてくるような気がします。
ラストの一行、最高にカッコよかったです。