概要
修道院を舞台にした、マザーグース見立ての短編ミステリー。
修道院の写本見習いエセルは、城で起きた歌い手の急死の「記録」を求められた。
礼拝堂の脇室に寝かされた遺体の横には、祈祷文に紛れた“童謡の紙片”が残されていた。
だあれが殺した 赤胸ルーヴェン?
「それはわたし」と スズメが言った──
わたしの弓で わたしの矢羽で
わたしが殺した 赤胸ルーヴェン
呪いの噂に流される前に、エセルは事実を拾い集めていく。
礼拝堂の脇室に寝かされた遺体の横には、祈祷文に紛れた“童謡の紙片”が残されていた。
だあれが殺した 赤胸ルーヴェン?
「それはわたし」と スズメが言った──
わたしの弓で わたしの矢羽で
わたしが殺した 赤胸ルーヴェン
呪いの噂に流される前に、エセルは事実を拾い集めていく。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!事実は猫の眼をしている。見つめ返すたびに、心の歪みを映し出す。
乾いた空気の中。
童謡のかたちをした噂が、静かな修道院で「事実」にすり替わっていく。
黒猫も、歌も、呪いも、すべては真相を隠すために並べられたものだった。
淡々とした語りの裏で描かれるのは、噂に寄りかかる人々の弱さと、それを利用する巧妙さである。主人公は感情を挟まず、ただ目に映る痕跡だけを拾い上げていくが、その冷静さがかえって不穏さを際立たせる。
石造りの修道院に差し込む赤い光の中で、真実は大きな叫びを上げることなく、静かに露わになる。読み終えたとき、読者は「呪い」よりも、人の作る物語の方がよほど恐ろしいのだと気づかされるだろう。