村の掟、禁忌、親切すぎる忠告と、そのすべてが伏線として丁寧に配置されているように感じ、ホラー短編としてサクッとゾッとしました。天使とは何か、救いの象徴か、救いとは誰のためのものか。答えを明示しないまま、読者の想像力に委ねる作品でした。
よく読めばわかるもの。読まねばわからぬもの。彼女が天使なのか? 幾度も逡巡した。読み返して、手のひらサイズのメモ帳にメモを取り、地を踏みしめた。そして。ようやくわかった。わかってしまった。その光輪が射すような母の笑顔に、恐れを抱いた。わたしたちは、天使を見てしまったんだ……。
静かな会話の積み重ねで違和感を醸成し、最後の一文で背筋を凍らせる秀逸なホラー短編でした。「天使」という言葉のイメージを最後まで裏切らずに使い切る構成が見事で、説明されないからこそ想像が膨らみ、読後も不穏さが残ります。日常の中に潜む異常を描く手腕が非常に高く、短編ホラーのお手本のような作品でした。私も、ホラー短編を書いているので、参考にさせていただきます。
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