乾いた空気の中。
童謡のかたちをした噂が、静かな修道院で「事実」にすり替わっていく。
黒猫も、歌も、呪いも、すべては真相を隠すために並べられたものだった。
淡々とした語りの裏で描かれるのは、噂に寄りかかる人々の弱さと、それを利用する巧妙さである。主人公は感情を挟まず、ただ目に映る痕跡だけを拾い上げていくが、その冷静さがかえって不穏さを際立たせる。
石造りの修道院に差し込む赤い光の中で、真実は大きな叫びを上げることなく、静かに露わになる。読み終えたとき、読者は「呪い」よりも、人の作る物語の方がよほど恐ろしいのだと気づかされるだろう。