悲しくも切ない。それでもこれが「歴史」であり「運命」というものなのかも、と思わされました。
サーシャには人の傷を癒す「聖女」としての力が備わっていた。それを見初められ、帝位継承者であるミハイルという少年の傍にいられることになる。
病に駆られているミハイル。彼の病気はサーシャの力でも完全には治すことまでは出来ず、症状をやわらげることのみ。
いつかはミハイルを元気にしたいと願うサーシャだったが、彼女たちを取り巻く環境には「聖女」の入り込む隙すらないほどの「病理」が迫っていて……。
ミハイルやサーシャ。二人の名前がどことなく東欧系の響きを持っていたことで、これは20世紀前半の「ロシア革命」をベースにしたものなのかな、と想像させられました。
皇帝一家がそこで断絶され、幼かった子供たちまで命を奪われる。
皇女アナスタシアだけは難を逃れて生き残ったなんて伝説もあるけれど、果たしてミハイルの迎える結末はどうなるか。
ラストでサーシャが「その後の顛末」を語る場面。そこには「救い」を見出すこともできるけれど、やはりとても悲しい。サーシャはきっと激しい悲しみに暮れながら、それでもそれを肯定できるように何度も物事を噛みしめてきたに違いない。
時代の転機というか歴史の波に翻弄された二人の物語。この激しさや切実さを感じるラスト、強烈に心に響きました。
主人公は昔、聖女だった。
彼女は誰かが怪我をしたとき、その傷口に手をかざせば、それを治すことができた。
主人公のその力はだんだん噂されるようになり、ついに皇帝宮へと呼ばれる。
そしてそこで皇太子のミハエルに出会う。彼はは病弱で美しい少年だった。
主人公はミハエルをその力で癒しているうちに彼と仲良くなっていく。
このまま二人が結ばれてほしい、そう思っていたのですが……。
悲しい物語でしたが、非常に美しくもありました。
純愛をしっかり描いた作品でした。
幸せなカップルを描いた小説もいいですが、こういう作品もそれはそれで味わい深いものがあると思います。おすすめです。
胸がずしん。と、重たくなります。
色々な感情が、頭を駆け巡りましたな。
読了してぼんやりと天井を見つめて、ようやく今レビューを書き始めたところです。
結論から言うと、もう後半から手を組んで祈ってしまいました。
頼む。二人を助けてくれ と。
主人公サーシャは、聖女……なのかどうなのかはわかりませんが、いわゆるヒーリング能力を持っているようでして、
触れたものの怪我や病気を直せるそうなのでございます。
そして、運命というのはえてして人間を引き合わせるのか、この国の定位継承者であるミハエルは、おそらく慢性の喘息もしくは結核ですかな。悪咳の止まらぬ病弱な体だったのだそうでして、この二人が出会ったのはまさに、不可思議な磁力が働いたとしか思えません。
そうして、ミハエルを懸命に癒やし続けるサーシャ。
しかし、彼の咳が治まることはついぞありませんでした。
症状は治せても、病気は治せないのかもしれません。もしくは……
彼にかけられたのは呪いめいた何かなのかもしれません。
しかし、ミハエルを癒すためにサーシャは彼に触れ続けました。
これがやがて恋へと発展した頃には……。
悲惨な出来事が起きてしまい、待ち受けていたのは残酷な運命でした。
私は先ほど磁石と言いましたが、突き放し合うのも磁石の特徴にございます。
そこからの展開は是非、見届けていただけると。
抉られます。
私は抉られました。
この二人だったからよかったのか、
この二人だったから、いけなかったのか、
もう頭の中はぐるぐるしています。
ご一読を。