今夜はゴリラ豪雨。それでは、みなさまご一緒に。

「今夜はゲリラ豪雨」──。

その言葉を息子は「ゴリラ豪雨」と聞き間違えて、クリスマスにサンタクロースを迎えるかの如く大はしゃぎ。

ゴリラさんにあげる絵を書いて、ゴリラさんに食べてもらうバナナを置いて‥‥‥。


それを見ながら、母である主人公は、脳内に自分のタスクを追加する。
ゴリラさんの絵を回収して、ゴリラさんが食べたように、バナナを食べて皮だけおいて‥‥‥。


本来であれば、この日は夫の出張。
食事作りのミッションが軽減され、子どもが寝たら自分だけの時間がくるはずだった。

でもこのゴリラミッションを終えたらゆっくりできる。





そう思っていたのに‥‥‥。


まさか、本当にゴリラが降ってくるなんて!!!!






「ゲリラ豪雨」が「ゴリラ豪雨」に。
聞き間違いから始まって、それが現実になるというユーモラスな設定と展開。

しかし、それだけではない。

同時に描かれるのは、普段から「ちゃんとしなきゃ」を遂行する、妻であり母である主人公の抑圧と解放である。

ゴリラと息子と一緒にドラミングし大声をあげる姿は、面白くもありすがすがしくもある。
思わず胸が熱くなった。

ゴリラは息子の為に降りてきたように見えるが、その実、主人公の為に降りてきたのかもしれないとさえ感じる。

読むと、自分自身のこわばった心もほぐれるようだった。
この翌日から、主人公はきっと、少し生きやすくなったことだろう。



とても面白い作品なので、ぜひ皆様におすすめしたい。

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