そのバス、本当に乗っても大丈夫ですか? 気をつけてくださいね。

まず冒頭からの生活感のある描写が読者の没入感を高めます。それだけにバスに乗った後の小さな違和感の積み重ねに静かなる恐怖を誘われます。

特筆すべきは最後にバッグからこぼれ落ちる「あれ」の存在。
物語の論理性をたった一つの物体が覆し、読者を再び逃げ場のない超常現象へと引き戻すラストはまさに短編ミステリーの王道であり、鮮やかな読後感を残します。

日常のすぐ隣にある、冷たくて温かい怪異。
短い物語の中に家族の絆と背筋が凍るような恐怖が同居する冬の夜にぴったりの短編ミステリーです。

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