日常が音を立てて崩れていく『限界の瞬間』を感じている人に読んでほしい
- ★★★ Excellent!!!
介護や看病に疲弊し、大切な人に対して嫌悪感を抱いてしまう自分への罪悪感。
そんな綺麗事では済まされない感情に寄り添う筆致が読む者の胸を打ちます。
物語の鍵となるのは過去に投げかけた小さな善意が、巡り巡って自分の元へ帰ってくるという『優しさの循環』でしょうか。
作中に登場する『パンを踏んだ娘』の挿話は過ちを犯したり、自分を責め続けたりしている人々に静かな救いと赦しを与えてくれます。大きな奇跡が起きるわけではありませんが、他者と身を寄せ合いパン屑を拾い集めるようなささやかな日々を積み重ねる大切さが温かく伝わってきます。
何かに疲れ果てて「もう頑張れない」と感じている人にぜひ手にとってほしい一冊です。
読後、凍てついた心が少しだけ溶け出し、明日への小さな一歩を踏み出す勇気がもらえるはずです。