概要
人にも神にもなれなかった者たちが、
神話を殺しにいく物語。
神が存在しながら、統治しない都市――常降。
祈りは商品になり、遺物は闇に流れ、
神話は既に“利用される側”へ堕ちている。
その地下で生きる半人半神の青年・黒羽。
神の遺物を転売し、
「選ばれなかった存在」として今日を凌ぐ男。
神に近づけば拒絶され、
人としても居場所はない。
だが、ひとつの噂が流れる。
――最高神・天照の子ではないか。
その瞬間、世界は狂い始める。
純神派は神を神に戻すと叫び、
均衡院は秩序を盾に刃を隠す。
そして半人半神達の身に浮かび上がる、
選ばれなかった者の“nullの刻印”。
革命は理念ではない。
設計だ。
役者は揃った。
ならば――
神話そのものを潰せばいい。
これは救済の物語ではな
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!金と嘘と祈りの淵から、自分の名に戻るとき
「最高神の息子」を名乗る。
そんな嘘から始まった物語なのに、読み終えたときに残るのは、嘘そのものよりも、その嘘を抱えて生きてしまった少年が、どうやって自分の名前で立つのかということでした。
クロウは、品行方正な主人公ではありません。
お金は好きだし、逃げるし、見栄も張るし、どうしようもなく俗っぽい。
けれど、その俗っぽさを失わないまま、誰かを傷つけたことを悔いて、正しくありたいと願うところが、心に残りました。
神々もまた、ただ遠く美しいだけの存在ではありません。
圧倒的な力を持ちながら、悔い、怒り、愛し、誰かを守ろうとする。
神話の大きさと、人の泥臭さが同じ場所にあるのが、この作品の魅力…続きを読む - ★★★ Excellent!!!~ 夜姫の「光」に対する、泥臭い「影」の物語 ~
「神々の街で、吐く男」というタイトルが全てを語っています。神気に拒絶される半人半神のクロウが、華やかな黄昏都で文字通り吐きながら生きる第1話の導入は、夜姫の甘く切ない恋愛譚とは全く異なる温度で始まります。
この作品の強みは、同じ世界の「裏側」を徹底的にダークに描く覚悟にあります。灰溜地区、絶祈圏、純神派のテロ、均衡院の腐敗——夜姫が守る光の世界の足元で、こんな泥沼が広がっていたのかという衝撃。本編を読んだ読者ほど、この落差が痛い。
リズとの出会いも絶妙です。お互い吐きながら出会うという最低の状況が、後の関係性の基盤になっている。「外伝」と謙遜しながら、第1回エンターブレイン単行本ファンタジー…続きを読む - ★★★ Excellent!!!神と人の狭間で紡がれる、儚くも骨太なダークファンタジー
本作は、「外伝」と、うたわれているとおり、本編に登場する主要な神々がまた違った役割や「人の側から見た姿」として描かれているようです。
かくいう、私は外伝から読み始めてしまいました。
しかし。しかし、おもしろい。
神にもなれず、人としても居場所がない半人半神の青年・黒羽(クロウ)が、金のために最高神「天照」の息子を名乗るところから動き出す物語。
構成としては、痛みに満ちたドラマ、そこから生まれる成長を丁寧に壮大に描く筆力は脱帽いたします。
WEB小説のトレンドに対するアンチテーゼとして、そして、目の肥えたライトノベル読者へ向けて、どこまでも高い完成度へと練り上げた一作。
ぜひ、おすすめ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!神々しいほど人間くさい、男の生きざま!
この物語は、人でもなく神にもなれない、半人半神の血筋を生きる青年クロウのお話です。生きるために泥水をなめるような生活の中で、彼が信じる物は金と人より頑丈な体。
神が住む都に憧れ、憎み、自分の血筋を呪いながら、戦利品を売りさばき生きる糧にする。それが今のクロウです。
彼の言動や立ち振る舞いに、読み手は共感と言うより、同じ痛みを体感してしまう。
それはクロウの感情描写が、優れているからとしか言い様がありません。
やがて、クロウの純粋さに心を打たれる場面にも出会うでしょう。
クロウの住む世界と、神が暮す美しい世界の対比が、いっそう物語を深い物にしています。与えられた運命を何に使い、どう生き…続きを読む