この作品のタイトルがとても印象深いです。
「胸のうちを明かせない。」という言葉が示す通り、本文も登場人物たちの心情を語る形で物語が展開していきます。
女神の加護を失った混沌とした人の世で、かつて女神に仕えていた神声者パティアは、力を失い、人間の世界に放り出されます。
本作は、そんな彼女が今どう思っているのか、何をどうしたいのかを、非常に丁寧に描いていく物語です。
幼い頃に経験した「女神と共に人々を支える」という崇高な役割を心の奥底に秘めたまま、力を失い、見た目ゆえの辛い扱いを受けながらも、それでも「どうにかしたい」と悩み続けるパティアの姿は、とても健気で心を打ちます。
派手なモンスターとの戦いは描かれていませんが、「自分が同じ立場ならどうするか?」と一歩踏み込んで考えさせられる、登場人物の心に寄り添いながら読む大人向けの物語だと思います。