『ミュステリオンの国』から拝読していますが、今作も、人の想いや祈りの強さに何度も胸を揺さぶられました。
数年前、この世界を人の手に還したのは、女神の代理人たる少女・パティアでした。
力を失い、子どもの姿となった彼女は、生まれ変わった世界で孤独に生きている。
再会を果たした少年・カルシュに、ある理由から本当の名前も、自分の正体も明かせない。
共に世界を救ったカルシュは、彼女の記憶を失っていて――。
思い出してほしい。けれど、思い出させてはいけない。
その切なさが、ずっと胸に残ります。
けれど、人の手に世界を還したあとも、パティアにはなお過酷な運命が待ち受けていて――。
そんな彼女に、
「そんな世界で、ひとり神様みたいに生き続けろっていうのかよ」
と怒るカルシュの言葉に、何度も涙してしまいました。
みっともなく泣いたり、笑ったりしてほしい。
人として生きてほしい。
その願いが、あまりにもまっすぐで切ないです。
この物語には、ショッキングな展開や残酷さで感情を揺さぶるような“強さ”ではなく、
人の優しさや祈り、誰かを想う気持ちそのものが、人を動かしていく強さがあります。
だからこそ、心震えます。
人の願いは、祈りは、なくならない。
また、“女神様”とは何なのか。
この物語には、そんな哲学的な問いかけも流れていました。
普通の少年が、たった一人の少女のために決意し、強くなっていく。
カルシュは、私にとって大好きな“ヒーロー”です。
読後、胸に熱いものと、あたたかい余韻がずっと残ります。
私は数日間、ラストを思い出しては、じんわりしていました。
人の善性を、もう一度信じたくなる。
物語は、こうあってほしいなと思わせてくれる作品です。
ぜひ、この物語のラストまで見届けてほしいです。
『秘跡ーミュステリオンーの国』の続編 。前作を知っていると一層楽しめる構成になっているかと思います。
生まれ変わったアルディーナを舞台に、記憶を失った少年と秘密を抱いた少女の再会から動き出す、「人の想い」を前面に押し出した作品。
人の生き方を知らなかった少女の葛藤と、そんな彼女を守ろうとする少年の奮闘がとても美しい。
心情がとても丁寧に描写されており、もどかしい関係に心を揺り動かされること間違いなしです。
未知の脅威に晒され、再び試練が降りかかる中、すれ違う彼らを待ち受ける運命は。
少年少女と、二人の進む道で交錯する人々の、優しくも切ない物語。ぜひ見届けてみてください。
前作である、『秘跡ーミュステリオンーの国』の続編。
アルディーナの国内を描き、衝撃のスタートとなったダークな雰囲気のある第一部とは少し作風が変わり、前作よりも穏やかながらも、アルディーナの外にもフォーカスされてこの先の物語に繋がっていくような。そんなストーリーが第二部では展開されていきます。
ある事件を元に生まれ変わった新しいアルディーナの世界を舞台に、前作のキャラは続投しつつも物語に彩りを加える新キャラ、そして野心を持って暗躍する謎のキャラ達を美しく丁寧な文体で描いておりとにかく読みやすいです。
今まで繋がりを絶ってきた秘境の地が開かれる時、世界は彼らをどう迎え入れるのか。そして彼らはどう生きていくのか。
人智を超えた力を扱いつつも、あくまで「人」を描く。
今後も大いに楽しみなオススメの一作となっております!!
壮大な前作に引き続き、アルディーナを舞台として語られる本作。
ひとつの大きな区切りを迎えたわけですが、なんとその後が綴られています。
アルディーナの外、その他の国、人物との関り。いち読者としましては登場人物たちのその後がまた見られることに嬉しさを感じました。
男女満遍なく魅力的なキャラクターがたくさん。アルディーナに生きる彼らをより深く、また別角度から見させてもらっている気がしてワクワクしました。
まだ物語は終わっておりませんが、私が読んでいる現在。この盛り上がりがどうなっていくのか、これからの展開が非常に楽しみです。
小説の中でジャンル一つ、例えばファンタジーと言っても、カラーは色々だと思うんです。私はこの作者様の作品はランプの灯りのようだと感じています。作品の至る所に作者様のファンタジー愛が滲み出ていると思います。オススメです!是非読んでみて下さい。
女神に守られた幸福な国アルディーナが崩壊し、再生へと向かった前作は、どこか詩のような余韻を持つ物語でした。
一方で続編となる本作は、登場人物たちの動きや関係性が、より鮮やかに“映像”として浮かび上がってくる印象を受けます。
前作で神声者だったパティアは、女神の去った世界で少女の姿となり、新たな生活を始めます。
かつて彼女に憧れていたカルシュは、その正体に気づかないまま、彼女を妹のような存在として共に行動することに。
外へと開かれたアルディーナは、これまで知らなかった脅威にさらされていきます。
その中で、パティアとカルシュの関係はどう変わっていくのか。
物語はまだ途中ですが、この先の展開がとても楽しみです。
この作品のタイトルがとても印象深いです。
「胸のうちを明かせない。」という言葉が示す通り、本文も登場人物たちの心情を語る形で物語が展開していきます。
女神の加護を失った混沌とした人の世で、かつて女神に仕えていた神声者パティアは、力を失い、人間の世界に放り出されます。
本作は、そんな彼女が今どう思っているのか、何をどうしたいのかを、非常に丁寧に描いていく物語です。
幼い頃に経験した「女神と共に人々を支える」という崇高な役割を心の奥底に秘めたまま、力を失い、見た目ゆえの辛い扱いを受けながらも、それでも「どうにかしたい」と悩み続けるパティアの姿は、とても健気で心を打ちます。
派手なモンスターとの戦いは描かれていませんが、「自分が同じ立場ならどうするか?」と一歩踏み込んで考えさせられる、登場人物の心に寄り添いながら読む大人向けの物語だと思います。