分け与えられ続けた「半分」の意味。
- ★★★ Excellent!!!
この作品は、感情を語らない。
淡々とした語りの中で描かれるのは、人物の行動や反復、そして物の扱い方である。卵の黄身、分け与えられる半分。いずれも一見すると些細で、どこか奇妙だが、それらは偶然ではなく、物語の中心を成す要素として配置されている。
とりわけ「双子」というモチーフは、幸運でも不吉でもある両義的な存在として扱われ、その意味を明示されないまま繰り返される。ここでは、何気ない会話や軽口が伏線として強調されることはない。しかし後から振り返ると、それらすべてが不可欠であり、最初から定められていた配置だったことが分かる。
ここまで精緻に組み上げられた構造の中に、軍人特有の戦友への深い想いが静かに織り込まれている点に、この作者の最も際立った特徴がある。