• マイページ
  • 小説を探す
  • ネクスト
  • 書籍化作品
KADOKAWA Group
  • ログイン
  • 新規登録(無料)
汐風、駆ける

汐風、駆ける

石井はっ花

おすすめレビュー

★で称える
★★★
★18
6人が評価しました
本文あり
日付が新しい順

本文ありのおすすめレビュー

  • 早坂知桜
    288件の
    レビューを投稿
    ★★★ Excellent!!!

    花は派手に咲かない。だが、その香りは長く残る。

    本作は、いわゆる西欧ファンタジーの文脈では語れない。
    王や英雄が世界を塗り替える物語ではなく、
    家と血と責務が静かに連なっていく、
    神聖ローマ帝国東縁を思わせる貴族世界が、
    息遣いとともに描かれている。

    主人公は、これから権謀術数の世界を渡り歩くことになる少年。
    彼の前に現れるのは、
    まだ硬い蕾でありながら、
    いずれ時代と人心を魅了するであろう少女たち。

    交易、騎士団、家督、縁談、宗教観。
    それらは説明されるのではなく、
    生活と会話の中に沈み込むように配置され、
    読者は気づけば、
    東欧貴族文化特有の重みを自然と受け取っている。

    花は派手に咲かない。
    だが、その香りは長く残る。
    本作は、そうした物語を求める読者にこそ、
    静かに手渡されるべき。

    • 2026年1月8日 09:51