君が、エッグノッグを思い出したら。

きっと、この季節が巡ってくるたびに例えば……


吐くいきが白くなった時、讃美歌の、カウンターテナーが聞こえた時、
彼の事を思い出すのだろう。エッグノックと一緒に。




主人公は、いわゆる人ならざる者が見えるという特殊な体質にございまして、
そういう方は往々にして、現実の人間とは距離が遠ざかっていくのが必定なのでしょうな。
友達ができたことがないのでございます。
どうしても心に殻ができ、その中に閉じこもってしまうのだそうで。



そんな彼が、たった一人教会に訪れた時に聞いた、
美しい讃美歌。金色の髪。緑の目。

彼はすぐに気付きました。
『彼は幽霊である』と。




自分を怖がらないことに不思議がる少年と、
そもそも友情を知らない少年。
奇妙な出会いだったのでしょうな。
しかしその出会いが、少年の心の殻をすこじづつでも破っていくきっかけになるのにございます。

出会うはずもなかった二人。知り得なかったはずの飲み物。そして讃美歌。
不可思議な出会いと、温かい物語にございます。


お勧めいたします。

ご一読を。