バール(のようなもの)で殴られた被害者&「卵のような」名前の参加者たち

 登場人物の名前が面白くて、まずはそこに翻弄されていきます。

 「とある山荘」でのオフ会に集まった男女。しかし、その中の一人である名倉怜太(なぐら・れいた)が殴られたことで死亡しているのが見つかる。

 名倉怜太は誰に殴られたのか。怪しい事実として手の中に卵が。

 オフ会の参加者の中には卯木という名前の女性が。これが卵の示す意味なのか。
 でも、掘り下げていくとどんどん怪しい事実(?)が出てくることに。

 事件は混迷を深めそうになる中で、ふと大前提として「不審な事実」があることがわかり……。

 もし、そのことに気づかないでいられたら、一体どうなっていられただろう。もっとうまく立ち振る舞う方法があったんじゃないだろうか。
 
 じっくりと物語の中を追っていくと、ひそかに織り込まれている「手がかり」となる要素。それらが見えてくることで、展開が思わぬ方向へと転がる様がとても楽しい作品でした。

 そう。たしかにそれは「の・ようなもの」のはずなのです。「それ」を断定する人は、この世の中には存在しない、そういうルールがあったのです……

その他のおすすめレビュー

黒澤 主計さんの他のおすすめレビュー2,102