施設で静かに「終わる準備」をしていた90歳の女性が、一本の格闘ゲームと出会った瞬間から、この物語は動き出します。生きる理由も、語る相手もいない日々——そこから始まる導入が、まず強い。けれど本作が巧いのは、絶望を“暗いまま”で終わらせないところです。彼女が初めて口にする「もう一回」は、勝利のためというより、人生を続けるための小さな宣言として刺さります。
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