狩りのできない男が、冬の森で見つけた「道」とは。

「狩りをしたことがないから、失敗したこともない」 そんな、聞いているこちらがズッコケそうな屁理屈を堂々と宣う男が主人公。

物語の舞台は、凍てついた冬の森。 自信満々に未知の獣を追う男の姿が、リズミカルな文章で描かれます。どこか抜けているけれど憎めない男のキャラクターと、パキッ、ビクッといった擬音の使い方が絶妙です。
そして何より素晴らしいのが、その結末。
「未知」という言葉をどう着地させるのかと思えば……。
思わず「うまい!」と唸ってしまう、鮮やかなサゲが待っています。

数分で読める短さの中に、クスッと笑えるユーモアと、日本語の面白さがぎゅっと凝縮されています。

冬の寒い日に、温かいお茶でも飲みながら一席楽しんでほしい、そんな素敵な短編です。

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