概要
「綺麗な赤でしょう」それは昨日、貴女方が殺した魔女の心臓だ。
真白透夜@山羊座文学さんの近況ノート正直企画用に書きました。
この国の人々は、異端の女を火に焚(く)べることを好む。
祭りの後、処刑台の灰の中には、必ず黒くて硬い塊が残される。
どんな業火でも燃え尽きない、女たちの心臓だ。
人々はそれを忌み嫌い、「不燃ごみ」として谷底へ捨てる。
私はそれを拾い、回転砥石で削り、磨き上げる。
黒い殻の下から現れるのは、血のように赤い結晶か、あるいは涙のように青い結晶か。
それを「異国の宝石」と偽って市場に出せば、貴婦人たちが喜んで買い求めていく。
これは、滑稽で美しい循環(エコシステム)の話だ。
ある冬の朝。私は、言葉を持たなかった少女の心臓を拾う。
削り出したその中身は、今まで見たことのない色をしていた。
この国の人々は、異端の女を火に焚(く)べることを好む。
祭りの後、処刑台の灰の中には、必ず黒くて硬い塊が残される。
どんな業火でも燃え尽きない、女たちの心臓だ。
人々はそれを忌み嫌い、「不燃ごみ」として谷底へ捨てる。
私はそれを拾い、回転砥石で削り、磨き上げる。
黒い殻の下から現れるのは、血のように赤い結晶か、あるいは涙のように青い結晶か。
それを「異国の宝石」と偽って市場に出せば、貴婦人たちが喜んで買い求めていく。
これは、滑稽で美しい循環(エコシステム)の話だ。
ある冬の朝。私は、言葉を持たなかった少女の心臓を拾う。
削り出したその中身は、今まで見たことのない色をしていた。
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おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!「想い」を削り出す、冷徹で孤独な研磨師の記録。
本作が描くのは魔女狩りそのものではなく、それが「日常業務」として成立してしまった世界の冷たさでした。
拾い、削り、売る――。 その淡々とした手順が、人間の残酷さを何倍にも増幅させています。
心臓が色で分類される描写が圧巻でした。 欲望の黄色、誇りの深紅、そして無色透明。 とりわけ最後の「色のない結晶」は、怨みも呪いも結晶化することすら許されなかった存在を突きつけてきます。
語り手は善人ではありませんが、その透明な石を商品にしなかった瞬間、この物語は単なる残酷譚ではなく、人間の中にまだ残っている燃え残りを描く文学へと変わったように感じました。
派手な救いはありません。 読後に胸に残る冷たい…続きを読む