小説を書くために大切なこと。理解してくれる誰か。その大切さ。
- ★★★ Excellent!!!
もう、タイトル段階から強く興味を引っ張られます。
「母は小説を書けない」ということ。自分の母親が小説を書けないことは、何か問題があるのだろうか。そんな疑問をもって先へ先へと読み進めることに。
そうして見えてくる、作者の母の人物像。なるほど、これはなんとも個性が強い。
小説にも理解があり、作者の書いた作品を読み「しっくりこない」とコメントしたかと思えば、「中盤の山場をプロローグに持ってきたら」と提案し、その通りにしたらコンクールでも評価される(特にその点などが)という眼力の鋭さも持っている。
とにかく異彩を放つ母らしいけれど、それでも「小説を書く」ということに関してだけは事情があって出来ないようで。
本作は、そんな「母」についての感慨を語りつつ、「小説を書く自分を家族(ないし周りの誰か)が支えてくれることの大切さ」が浮き彫りにされていくのが印象的でした。
小説を書くのには、やはりメンタルとしての安定も必要。そんな時に、誰かが理解してくれるだけで大きすぎる力にもなる。
ある種の環境って大事だし、創作界隈ではその点で色々な悩みや嘆きが溢れていることなども見えてきます。
小説を書くこと。書くために必要なこと。本エッセイを読んだ後、「自分が今まで誰に助けられてきたか」とふと顧みたくなりました。