未知であり無知であるのはお互い様!? 『他力本願』はやっぱり危険?

 お、おいおい……こいつはなんかヤバそうだぞ?
 読み進める中で、そんな感慨が自然と浮かんできます。

 本編の主人公は、何やら「願い事」を聞き届けるようなことをしている存在らしい。
 「神頼み」みたいな形で様々な願い事をしに来る人々。それを叶えようとは思っているものの、どうも「人間が何を願っているのか」という感覚がよく理解できていない。

 現代の人間の事情。人間の願い。その辺りはよくわからないけれど、何か叶えなきゃ、という想いだけはしっかりとある。

 ……何やら、すごく不穏な感覚が。

 その後の展開。そして、明かされる真実。
 「彼ら(または彼女たち)」にとって人間が「未知」なものを抱えている一方で、人間は人間で「拝んでいる対象」について「無知」でもある。

 やはり、なんでもかんでも「神頼み」みたいなことをするのは危ないのかもしれない。そう思わされる一作でした。

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