この嘘は、世界を欺き、自由を勝ち取るための軍旗だ。

完璧な騎士(彼女)と、守られる青年(私)。

二人が演じる美しい虚構が、デパートの甘ったるい香りと男の無機質な言葉によって暴かれていく過程が、あまりにも残酷で美しい。

「女」であることを否定するのではなく、共有する「呪い」として受け入れ、再び仮面を被って世界へ進軍しようとするラストに痺れました。

傷を舐め合うだけの関係じゃない、これは二人だけの聖域を守るための戦記。凄まじい筆力で描かれる、濃密な短編の傑作です。

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