「普通」と相容れない二人の、力強い尊厳の物語。

イケメン彼女と、平凡な男子である「俺」。本作は、そんな二人の描写から始まります。しかし、二人の関係は「嘘」であることが、次第に明らかになる・・・

本作の中盤では、文芸的な、濃密な心境描写が続きます。その妖しい程に美しい描写は、二人が「嘘」でその身を鎧わねばならない理由を、克明に暴いてゆく。

そして、ラストシーン。タイトル『鏡の中の共犯者』の意味を、回収するラストシーン。
嘘で世界を騙して互いを守りあう、共依存のような関係性が美しい。
社会の「普通」とは相容れない二人の、美しくて力強い尊厳に、胸を打たれました。

ぜひ最後までお読み頂き、この読後感を感じて頂ければと思います。

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