業を背負って生きていく

「仏は常にいませども、現うつつならぬぞあわれなる、人の音せぬ暁に、ほのかに夢に見え給たもふ」

仏とはありがたいものだけれども、この世にはいない。
そのような言葉にございます。

この言葉を、主人公の吾作は寺で教わりました。
両親のいない、いや、記憶にないこの吾作は、暮らしぶりは悪党そのもので、

殺し以外は何でもやって身を立てている。そんな男にございます。




ある朝のことにございました。
とある夫婦の修羅場に出くわしてしまいます。
女の方は、あまり知恵の回らぬ方だったらしいのですが、男の方に平手打ちをされております。

面倒ごとは嫌いでも、喧嘩に巻き込まれてついに、人を殺めた吾作
そして、女の方を魅入ってしまい、二人には子が宿ります。




この時に、旦那を殺した男の子を孕ったこの女性が言った言葉とは……。









見えないものは存在しないもの。
それは、拝むべきものなのでしょうか?


しかしそれは確かに、仏教の教えに基づく、『輪廻』の物語にございます……。



ご一読を。