音が色になるキレイな世界で、私はひとりで壊れかけている。
- ★★★ Excellent!!!
音が色彩となって見える。
主人公のいるその美しい世界。
でもそこは色の奔流が苦痛になる。
そんな世界でもありました。
本作では色彩が際限なく侵入し溢れる日々と、色彩に追い立てられるような主人公の日常が描かれています。
色の描写そのものが、彼女の心の動きを語りかけるのです。
物語を読み進めるほどに、主人公の息が詰まる感覚がありありと浮かびます。
静かな語り口です。
でもそれは、読む者をも苛む叙述なのです。
いま目の前にある世界の色が正しいと誰が定めるのでしょうか。
それを正す方法はあるのでしょうか。
物語を読むうちには、幾つもの不安が過ぎります。
本作を読む方は、やがて気づくのでしょう。
特異な題材を採った本作の根底の意義に。
それは、ごく普通のあり方。
生きるためには、誰しも何かを手放すしかないという事実です。
本作は誰の人生にも立ち現れる選択の物語なのです。
どうぞご一読ください。お勧めします。