共感覚への共感
- ★★★ Excellent!!!
本作の主人公は、音を色として認識する。
それは視覚的共感覚(フォティズム)と呼ばれている。
成人人口の4%強がこの感覚の持ち主である、と推計されている。
一般的に、音に色はない。
しかしイメージから喚起される色のあることを、我々は知っている。
また、あるものを食べたり、特定の匂いを嗅いだりした時、過去の体験が鮮明に蘇ったりもする。
それを我々は知っている。
つまりこの主人公の感覚を、我々は想像することができる。
共感覚を持たない我々は、文学は通し、彼・彼女らへ触れることができるのだ。