軌道エレベーター。銀の針の様なそれは前時代の人類が遺す希望の墓標だった
- ★★★ Excellent!!!
卒業旅行の途中で、宇宙空間から地球を眺めていて目にした銀の針。
そう目に映るのは、前時代の軌道エレベータだった。
今の世代には、実用性のないただの遺構だ。
彼の無関心を教師の言葉が、小さくしかし確かに変えていく。
彼はその時代を知る世代だった。
この遺構は、かつて閉塞し、衰亡の危機にあった人類が掴んだ救いの蜘蛛の糸であったこと。
現在ではもう実用性を失った希望の墓標であること。
教師は語り続ける。
現世代には遺構の意義を知る事ができれば、十分であり、当時の熱気や思いを理解できなくても構わないと。
そんな教師の言葉が、主人公の胸の奥に敬意を点す。
本作に描かれたのは、まだこの世にないノスタルジー。
やがて来たるべき世界の存在するかも知れない感情。
まさにSFで描かれるべき情動です。
ぜひご一読ください。