ざくろってあんまり瑞々しくない

 個人的にはざくろって意外と乾いてない? と思ってて、そのイメージで読むとよりしっくり来ました。瑞々しい肌と貪欲さを「ざくろのよう」と評された主人公が、実は求めても求めても癒せない渇きを内に秘めていて、それが本人を破滅方向にドライブしていくというある意味お決まりの舞台装置ですが、でもその不穏さや気持ち悪さを次々並べられるモチーフで感覚的に引っ張るのでベタさが全くありません。痛くて苦くて救いはないけど最後にちゃんとカタルシスはあります。あれをカタルシスと呼ぶかは人によりますが。