上手に生きなくたっていいんだ
- ★★★ Excellent!!!
繊細で上手く生きられない高校生の心情を、安易に説明するのではなく、徹底した描写で見事に描き出しています。朝、学校に行けずに反対向きの電車で遠くに行ってしまう。スマホに連打される友人からのメッセージやバイブレーション、自分でも咀嚼できず羅列することしかできない「上手くできない理由」。そして彼女が本当に痛みを覚えた出来事が明かされ、その痛みへの感情の溢れが情景に同化して表現されるカタルシス。
……こんな解説、無粋ですね。上手に生きられない主人公の心情に寄り添って、声をかけてあげたくなる作品です。ぜひ読んでみてください。