支配者には思い切って、ちゃぶ台ひっくり返しちゃえ

 毒親に苦しむ娘さんの話です。わたしは血縁よりも関係性を重視するタイプなので、頭では「距離を取ってしまえばいいのに」と思ってしまう側なのですが、現実には子どもの頃からの被支配的な関係が染みついていて、「それができたら苦労しない」構造があるのだと、あらためて腑に落ちました。
 本作はその苦しみがこれでもかとリアルに綴られていて、わたしのように毒親テーマにピンと来にくい人間にも「これはきつい」と納得させる説得力があります。
 だからこそ終盤、ちゃんと境界線を引く方向に話が動いたのが気持ちよかったです(笑)。