概要
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- ★★★ Excellent!!!伝ふべき言の葉消えた秋空に 交ふ赤蜻蛉想ひのみのせ
三浦半之丞という少年剣士が思慕する成沢忠弥への思いを並べる。
本作は、そんな作品です。
稽古の後、姿を消す忠弥。
それが気になる半之丞。
彼はその日、たまたま土手で忠弥を見つけられました。
はてさて、このあとどうなりますやら────
ふとしたやり取りの中に封建制度下の身分の差、年齢の差、武士という家を繫ぐ立場、思いを拒まれる怖さが垣間見えます。
本作を読む方は、時代や性別や年齢を越えて、人を思う気持ちに共感できることと思います。
そして何より登場人物たちの稚い青い息吹を感じられるでしょう。
心地よい作品です。
ご一読を、お勧めいたします。 - ★★★ Excellent!!!秋の便りがふたつの心を寄せていく、自然美の映える短編です。
彼岸花に赤蜻蛉。秋の深まりを伝える頃、半之丞にとってあこがれの相手・忠弥にほのかな想いを寄せるおはなし。
道場を出て武家町へまっすぐ戻るつもりだった半之丞。青さの残る空からの心地に連れられて久しぶりに河原の景色へといざなわれます。
そして寄り道の先――ススキ野原に忠弥のひとり寝姿を見つけ身を寄せていく。この自然な流れはこころの描写として魅力的です。
ススキの穂をゆらしていくそよぐ涼音の行方が静かなふたりの時間に溶けて心地よく、何気ない会話もいい塩梅。
小さな嘘も、笑って許せる間柄。
たまには寄り道もわるくないですね。
時を感じる心の豊かさが二人の距離を縮める素敵なおなはし。 - ★★★ Excellent!!!静かな秋空の下、憧れのひとと二人きり……美しき情景の時代物BL!
道場での稽古後、憧れの存在・成沢忠弥(なるさわちゅうや)がいないことに気が付いた三浦半之丞(みうらはんのじょう)。
忠弥は時々、こうしていなくなってしまうようだ。
その日の帰り道、半之丞は寄り道をしようと河原の方へ歩を進めた。
すると、土手下のススキ野原で、誰かが寝ている。
近くに寄るまで気が付かなかった半之丞は慌てて謝るが、返ってきた声は聞き覚えのあるもので……。
世界観を魅せる端正な文章が、とにかく美しいです!
静かな秋の空の下、飛び交う赤とんぼやススキの穂が揺れる……そんな情景がありありと目の前に浮かんできました!
そんな空気の中、想い人を見つめる半之丞の眼差し、そして飄々と対応する…続きを読む - ★★★ Excellent!!!あなたの前では、自分じゃないみたい
憧れ。尊敬。敬愛。
そういう感情を抱いている人を前にすると、どうにも人間はおかしくなってしまうものなので滑稽だもんで。
普段とは違う言葉遣いをしてみたり、わかりづらい嘘などついてみたり、無理してお退けて見せたり。
マクラが長くなり申したな。
道場の稽古が終わり、半之丞は川に寄り道をしておりますと、
忠弥という男がススキの上で横になって寝ているのを目撃いたします。
半之丞はこの忠弥に、憧れの感情を抱いておりました。
敬愛している人の寝顔が間近に。しかし、彼らの間には身分の差もあります。
ままならぬ一方通行の思い。しかし、それもまた、人間の滑稽で面白おかしな部分なのではないで…続きを読む