彼には、利用しているという気持ちは少しもないのだろう

ヒューマンドラマの達人、猫小路葵さんが放つ、息をのむほどに美しく残酷な物語です。

元刑事が、知り合いの青年のために罪を犯します。
その犯罪を犯させた青年・晴のキャラが本作の味わいどころです。

どこか少年の面影を残すあどけないキャラ。
主人公である元刑事にだけ少し心を開いているように見えます。見えるだけのようにも感じられます。すべてが演技のように思われるのが本当に恐ろしい。

晴には、刑事を利用したという認識さえないのではないか。
私にはそう思えてなりません。

恐るべきオム・ファタール(魔性の男)の物語を、ぜひお読みください!

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