現実と虚構の中で。
- ★★★ Excellent!!!
なんと、悲しい物語だろう。
産業革命時のイギリス。機械化が進められてプロレタリアと呼ばれた労働者はは、昼も夜もなく十時間労働したのだという。
そのことをひたすら思い出した。
それで、この物語を読んで気がついたのだが……
これはおそらく、半分主人公のも自己洗脳。そして、妄想の物語なのだろう。
工場に勤務し、自らマシーンとなっている自分に自覚しながらも、
「いや私は人間だ」と言い聞かせているのだ。
証拠に、食べているものは人間の食事ではないか。
そして夢がある。お酒を飲んで、小説家として一流になることを望んでおり、アルコールの霧が晴れる頃に人間に戻る……いや違う……
マシーンに戻るのだ……。
現代人を冷静に見つめた、物悲しい景色の物語だと私は思ったが、どだろうか。
ご一読を。