それでも「人間」であるということ。

淡々と綴られる一日の描写が、読み進めるほどに不穏な重さを帯びてくる。反復される工程や食事の描写がリズムを生み、その単調さ自体が物語の主張になっているように感じられる。後半で明かされる「神になる時間」は突飛でありながら、現実逃避とも救済とも取れる曖昧さを残し、問いを投げかけてくる。人間とは何か、働くとは何かを、静かに突きつけてくる短編だと思う。

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