人生最大の危機に人は何を思う? 魂の根源を問いかける傑作エッセイ! 

 某放屁作家さんと兄弟の契りをかわし「放屁ブラザーズ」で売っている、青山翠雲さんのカクコン参加作です。今回は危うく放屁から一歩進んで、人生の放出まで至るのか? という翠雲氏後半人生最大の危機を綴った緊迫のドキュメントになります。

 放屁、そして、その内容物たる「人生」(本レビューは上品なので「人生」にしておきます)を考察するとき、なぜ人間は崇高な芸術や哲学に思いを馳せてしまうのでしょうか。戦いに敗れたとき、人間としての全てを失ってしまいそうな、そんな絶望感があるからでしょうか。翠雲さんの本作にも、そこここに深く考えさせる名言がちりばめられています。
 ネタばれがアレなんで、多くは書きませんが、「革命の勢いは燎原の火の如く一気に広がりを見せ、もはや、神経を集中していないと、そこがバスティーユ監獄さながら、脱獄囚が一気に殺到しそうな状況となっていた」とか、「『無我夢中』でコンビニエンスストアを目指した。今やストア派哲学の第一人者になった気分だった。ひょっとしたら、「無我の境地」にも知らないうちに到達していたのかもしれない」とか、味わい深い名文が目白押しです。

 今回、危うく「人生」作家になるところだった翠雲氏、「そこらにコンビにあるだろう?」と思って読んでいましたが、あいにく丘の住宅街だったようで災難でした。救いの女神になってくれたコメダは一生愛用してあげないといけませんねw

 この面白さの割に☆12とはなんたるちあ。
 まあテーマがテーマなので刺さる人が限られているのかも知れませんが、わたくしはとても面白かったですよ。

 読んで損はないと思います。お勧めです。