抹消された令嬢が、切り捨てられた数字の元へ向かい生存ゲームを開始する

帝国にとって耳障りで聞きたくもない数字を把握している貴族令嬢とその父は、馬車の事故に遭う。

彼女は父の帳簿を胸に、自分の生き延びるための可能性をはかり、辺境の砦に向かう。
──死人文官シュアラとして。

計算を武器に、削られるはずだった命をマスにとどめて価値を置き直し、盤面を変えてゆく物語。

彼女の計算と帳簿による価値観が、理解されなかったり反発されたり、計算を人の心に届くように置き換えることを知ったり、新たに自分の価値観になかった人の心を計算に付け加えることを学んだり。

そういうちょっと違う価値観で語られる、悔しさや不安や後悔の表現が面白いです。

死に直面しても、次の行動に移れるのは数字としての冷徹な価値観を持っているからでもあるし、同時に人との摩擦も起きる。

メリットとデメリットがちゃんと出ているのが良いですね。
かといって、冷たい子というわけではなくて人の命や感情にちゃんと価値をおいてくれ安易な切り捨てを選ばず、前向きに活かすことを検討してくれます。
本人いわく「無駄にする余裕がない」そうですが。

個人的には、生真面目なところが目立って、多分噂があるくらいだから美人なのについでのように語られているのがちょっと面白かったです。


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