両親の都合で小さな島に引っ越して来た、美空と麗美。
しかし引っ越してきた先の島……通称【螺子巻島】は住民も島もどこかおかしい。
また、『邪祓師の腹痛さん』主人公のト部とかなめも、ちょっとしたバカンスのつもりで同じ島に来ていて……!?
二つの視点から圧倒的で繊細な筆力・構成力をもって描かれる、巡り続けた悪意と呪い……そして、未来を見ている人々の強さと絆の物語。
巡り巡った因果の果てで、島の秘密が全て解かれるその様子は、ミステリーファンもホラーファンもそうでなくてもきっと楽しめます。
この至高の物語を、ぜひ一読してご堪能ください!
うずまきがあります。例えば風が渦巻(うずま)けば、竜巻(たつまき)となって、大きなエネルギーが生まれて。しかし、その場に留まり続ければ、停滞状態となって周辺に被害を及ぼす災(わざわ)いとなることでしょう。
世の中には思考ばかりを巡らせて、何も行動に起こせず、自分だけではなく周囲まで停滞状態にしてしまうような。そんな人というか地域の状況が、起こり得るのです。それは不幸なことであります。
主人公や協力者、そして、その他の登場人物は停滞状態から抜け出そうとします。その先にある景色こそ、私たち全てが目指すべき場所なのだと、そう思わされる力強い物語でした。
心霊解決センターを営む、邪祓師の卜部と助手のかなめ。
複雑な呪いや恐怖を紐解き、封じてきた二人のことは、原典である『邪祓師の腹痛さん』でご存じでしょう。
本作ではバカンスということで、五島列島そばの孤島にやってまいりました。
人探し? まあ、ついでみたいなモノに決まってます。
しかし……
変なんです。
なにか変なんだけれど、どこが変かがわからない。
この塩梅がプロの腕。本番が始まる前から、張り詰めるものを感じます。
そして中盤。
天井に現れた雨漏りが広がるように、動き出す事象。
点と点とがつながり、線を越えて立体になる展開。
ところで、恐怖って何なのでしょうね?
わからないこと、奇妙なこと、死にそうなこと、取り返しがつかないこと……
いろいろあるかと思いますが、本作ではほぼ全部が渦を巻いています。
まるで――――
いえ、やめておきましょう。
読みながら鳥肌が立ったことって、レビュワーはあまり経験がありませんでした。
このジットリとした、まとわりつく読後感。
ホラーファンなら是非とも味わっていただきたいと思います。
両親の仕事の都合(?)で離島に引っ越してきた美空と妹。
だが、その島には独特の風習と信仰が満ち、不気味なオルゴールの音色が響いていた・・・
書籍化作品【邪祓師の腹痛さん】シリーズの最新作!
ですので、面白さは折り紙付き。
安心して読み始めてください!
単におどろおどろしいホラーというだけでなく、ミステリー要素もあって引き込まれます。
何より、青い海に浮かぶ「移住したい南の島」なのにもかかわらず、不気味な因習が息づいているというギャップが怖い!
「邪祓師の腹痛さん」が今回引き受ける依頼は人探し。
でも、どうやらただの失踪事件ではないようで・・・?
不気味な島の信仰がかかわる事件に、腹痛先生はどう対峙していくのか?
そして、島から抜け出したい姉妹の運命は!?
始まりは静かな物語だった。
山田洋次監督の映画みたいに、穏やかで美しい始まりだった。
小さな幸せの息遣いや、些細な戸惑いがあった。
同時に得体の知れない何かも感じた。
知らぬ間に指先で乾いてしまった血の跡みたいに、何処を切ったのか分からない見えない傷を感じた。
積み重なり過ぎ行く時間が「嘘」に見えた。
歩いている道が「嘘」に見えた。
認識している事、知覚している事、感情が、信頼が、優しさが、濁った「嘘」をしみこませている様で、怖かった。
悪意は巡る。
きっと誰も悪くないのに「悪意」はどこまでもどこまでも、非情で残酷で腐り切って抜け出せず、ねっとりとぬっちゃりとじゅくじゅくと、あらゆるものが螺旋と円環に呑まれて渦となる。
タスケルミチモミエナクテ、オモクテ、クルシクテ、イタマシクテ、ヤサシクナクテ、悪夢シカナクテ……。
押しつぶされそうで、息苦しくて、響いて、裂けて、うねって、酷くツメタクテ。
棘は茨と成りて、繰り返し肉を刻み、叫びは慟哭を越えて、声は潰える。
滲んだ想いは染みとなり果て、拭えぬ狂気が色を濃くする。
キット誰モワルクナイノニ……。
僕はそんな「悪意」の渦に巻き込まれて、どうなってしまうのかわからなかった。
だけど、
それは……。
お勧め致します。
書籍化作品【邪祓師の腹痛さん】シリーズ、続巻が刊行される事を切に願いつつ、このお勧めレビューに最大の敬意を込めて深川我無氏へ。
そしてより多くの読者様に!
圧巻のラストに僕は鳥肌と感動を覚えました。
皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)
この絶望的なまでの「呪い」の根の深さ。その全貌が見えた時に圧倒されました。
物語は「螺子巻島」なる孤島を舞台に進みます。
そこへ引っ越してきた美空や麗美たち音無家の姉妹は、一見平和そうに見える島にどこか不穏な空気が立ち込めているのを感じ取る。
一方、鳴島大黒なる人物から母親が失踪したと相談を受け、島に調査にやってきた「腹痛さん」こと霊能者の卜部一行。
島で過ごす間に、次第に音無家の面々や腹痛さんたちの身にも「呪いの力」が迫って来ることになる。
一体呪いの正体は? そしてこの島では何があったのか?
「アポーツ」という物質化能力を使って島の過去を探ることに成功した腹痛さんだったが、そこで出てきた答えは、あまりにも「深すぎる」ものでした。
日本という国が辿ってきた「負の歴史」とでも呼ぶようなもの。それを煮しめたかのような強く、そして深すぎる怨念や呪い。
正体が見えてきた段階で、「これ、本当に祓えるの!?」と不安になるほどでした。あまりにも個人の手に負えなさそうなレベルの強い呪い。
その上で、コアとして存在している「霊的存在」の名前。数々の作品にも登場してきた存在ですが、基本的に人類は「これ」にほぼ勝てないのが定番。
そんな絶望的な戦いを強いられる腹痛さんたちですが、ラストまで読んで胸が熱くなりました。
なるほど、たしかにこの負の歴史は深すぎるものかもしれない。でも、深さや歴史を持っているのは何も「負のもの」だけじゃない。
そして見事に「呪い」の弱点まで正確に看破して攻撃してみせる腹痛さん。やっぱりやる時はやってくれる。そんな姿がとにかくカッコいい。
圧倒的な絶望感を見せる「呪いの根の深さ」と、それでもしっかりと勝利を掴んでくれる腹痛さんの頼りになる感。
まさに第一級のホラーエンタメ。最高に楽しませていただきました!
私が初めて深川先生の作品を読了した時、まだ無名の人だった。
「こんな発想の作品書けるなんて」脱帽ものだった。
私の目に狂いは無く すぐにプロ・デビューされた。
一度聴いたら忘れられない深川我無 という名前。
先人たちの小説・映画などに影響の受けない書き手は居ないハズだ。
だが深川先生の作品キャラクターが、とうとう独り歩きを始めてしまった。
探偵と助手の黄金コンビ、しかも霊を祓うらしい。
どうか読んでください貴方がミステリーファンなら
貴方がホラー小説そしてホラー漫画、ホラー映画ファンなら
この作品は段々と貴方を引き込み、主人公たちが織りなす奇想天外な体験を
貴方に現代ホラーミステリーとはなにか?
そしてオマージュという表現方法の面白さを体現させてくれます。
貴方にもきっと新しい世界と発見を与えてくれるでしょう。
島に越してきて不満そうながらも日常をこなす姉妹。
簡単な依頼を名目にしたバカンステンションの腹痛先生一行。
一見平和に見える島で奇妙さや不穏さは小さく散りばめられていて、はじめは無視や知らぬふりができるものです。
けれど、物語のあちこちにこれでもかと配された螺旋が不穏に渦を巻き、登場人物たちは否応なしに巻き込まれていきます。
因習の渦、妄執の渦、残酷と罪を孕んだ時の渦、軸が折れた信仰の心の渦。
いくつもの渦が渦巻いてそこから現れ来るものとは。
重層的に絡まる悲劇が明らかになりながらも、助手のかなめちゃんの可愛さが相変わらず輝かしい作品となっております。
浴衣着てる~! 可愛い~~~ッ!!
せっかく引っ越してきたJKがダブルデート的に肝試し、な淡恋ムーブがあっても、かなめちゃんの一途さが可愛すぎてくすんで感じてしまった。申し訳ないことです。
翡翠姉さんのいたぶり愛と水鏡先生の受け止め愛も素敵です。オススメです!
家族とともに島へ転居してきた高校生、音無美空。
やり直しを求めた両親に従って、外界を捨ててきた彼女は、島に秘められた忌まわしい因縁へと巻き取られてゆく。
腐れ縁のメディア霊能者、水鏡の誘いによって島を訪れた、卜部誠&万亀山かなめ。
バカンスついでの簡単な仕事だったはずの依頼は、島に仕掛けられた因縁の渦へと続いており。
二つの視点でかたられる島の物語は、やがて一点へ巻き込まれてゆくように、くるり、くるりと螺旋の渦へと収束してゆく。
光と闇、平穏と災厄、そして楽園と深淵。
その中心より通じるものは、奈落か、解放か。
【邪祓師の腹痛さん】シリーズ最新作で
今もまだ連載中のこの作品。
もう既に本にもなっているこのシリーズ
最大の案件は『呪胎告知』だったが、
今回それと同等か、いやそれ以上に複雑
怪奇な案件に臨む。
元を辿れば、何かと面倒な案件を持って
来る占い師の水鏡竜司、本名=鈴木達也。
今回も、慰安旅行を兼ねた簡単な人探しの
案件を持って来る。
豊かな自然と美味しいモノと温泉と。
断る筈が、助手のカメこと万亀山かなめに
押し切られ、五島列島に程近い
『螺子巻島』へとやって来た腹痛先生こと
卜部誠。たまには旅行も良いかも、と
神気溢れる島の様子に気を良くするが…。
一方、訳あって一家で島へと越して来た
美空と麗美の姉妹。この島での生活を
諦観して受け入れようとする姉と抵抗する
妹…その関係は険悪なものになっていた。
少しずつ浸食して行く。
『螺子巻島』の 異 様 さ。
奇妙なオルゴールのオブジェ、徘徊する
メリーと呼ばれる老婆、黒助陀巻法、
摩放浪婆、魚の鱗、パードレ、隔離病院、
異様な儀式、不治の病、クロ様、失踪した
刀自が持つ鍵…。
追って来るのは、何者なのか。
島の過去を観た時に、その余りにも複雑な
呪いの 正体 を垣間見るが。
この幾重にも重なり絡み癒着し変容した
恐ろしい 何か を祓う事は出来るのか?
シリーズ最大の危機。
天国の貌をした地獄が、今ここに
顕現する。
震えて、備えよ。
二つの視点が絡み合う巧妙な構造!
移住してきた音無家の姉妹と、人探しの依頼で訪れた邪祓師一行。二つの視点が交互に描かれ、それぞれが島の「異常」に気づいていく構成が秀逸です。読者だけが全体像の断片を掴みながら、次第に明らかになる島の正体に戦慄します。
不気味な設定の数々が圧巻
螺旋状に渦を巻く島の形状、島中に響き渡る不協和音のオルゴール、人の顔が浮き出た巨大なモニュメント。視覚的にも聴覚的にも異質な描写が、読者を容赦なく不安に陥れます。「ここは良いところよぉ。ずーっとおったらええ」と繰り返すメリー婆さんの不気味さは、まさにホラーの真骨頂。
じわじわ迫る恐怖が巧みすぎる
最初は「ちょっと変わった島」程度だったものが、バスで同じ場所に立つ人影、魚鱗症の遺体、異様な葬儀の儀式と、段階的にエスカレートしていく恐怖演出が見事。特に葬儀のシーンは圧巻で、呪文のような経文と鉢の音、そして最後に美空が目撃した「何か」――読み進めるほど背筋が凍ります。
キャラクターの対比も魅力
明るく適応しようとする美空と、冷めた態度の麗美。軽口の水鏡と不機嫌な卜部。対照的なキャラクターたちが、それぞれの視点で島の謎に迫る展開に引き込まれます。特に邪祓師・卜部の「この島は神気が満ちている」という指摘が不穏さを倍増させます。
五島列島にほど近い孤島【螺子巻島】――そこは、目を疑う異質な巻き貝のオルゴールがそこかしこに点在し、新参者を迎える風変わりな場所。
慰安旅行も兼ねて訪れたト部一行と、都会から越してきた音無家の姉妹とがこの不気味な島で巡り合わせる奇妙な物語です。
誰にも止められない数奇の運命を辿るように、ぜんまい仕掛けの孤島は回り続ける異常性に地に足がつかない心情。
漠たる不安を拭えないまま、さらなる謎が追い打ちをかけてくるような不気味な焦燥感を覚えます。ト部一行と美空・麗美姉妹たちはどのように関わっていくのか。二つの視点が交互に描かれ次第に収束していく構成美が奇妙な深淵へと引きずり込む。
書籍化された『邪祓師の腹痛さん』シリーズ、渾身のミステリーホラーです。