ジャンルとしてはホラーに分類されるのでしょうか。
4つの短い『ちょっと不思議』な怪談で構成された物語です。
ただ、不思議な話というのは、ときに“別の不思議”を引き寄せることがあります。
私は、この物語の四つ目のお話を読んだあと、まさにそんな体験をしました。
怖さの中に、確かに温かさがあって・・・とても貴重な読後感でした。
前書きには「フィクション」とありますが、私にとってはそれ以上の価値を運んでくれた物語です。
ぜひあなたも、この優しくて、少し怖くて、そしてどこか温かい物語に触れてみてください。
あなたの心にも、何かがそっと訪れるかもしれません。
これは、信じても信じなくてもいい話です――
ただし、読み終えたあと、少しだけ部屋が静かすぎるかもしれません。
この作品が描くのは、突然驚かせる恐怖ではなく、
金縛り、耳鳴り、背後の気配……。
どれも日常で「あるかもしれない」と思えてしまう出来事ばかりで、
説明されない余白が、じわり、じわりと心を刺激してきます。
これは、怖い話を“読んでいる”というより、
夜更けに、横で雑魚寝している友の体験談を、
ぽつり、ぽつりと“聞かされている”感覚に近い。
その距離感が心地よく、そして油断したところに、
静かな怖さが、ふいに突き刺さります。
読み終えたあと、部屋は何も変わっていないはずなのに、
音のない、そしてどこか優しい時間だけが、
静かに流れているはずです。
あなたも……これを“読んでしまった”以上、
もう、知らなかった頃には戻れません。
金縛り。
その現象に焦点を絞った物語です。
多くの方に経験があるであろう就寝中に目が覚めていると自覚しているのに、身体を動かせなくなる状態です。
身体を引っ張られる感じや押される感覚、音声が感じられる場合もあるそうです。
前半の三つは、その状況の具な様子を描いています。
怖気が押し寄せました。
残りの一つは、寂しい心のあり様を励まされる。そんな状況を描かれています。
胸の奥が熱くなりました。
そんなエピソードの集まった物語です。
語りかける文体で書かれた物語は、きっと読む方の心を揺らすことでしょう。
お勧めいたします。
御一読ください。