「元気でな」と言えてしまう怖さ
- ★★★ Excellent!!!
主人公は現代の必殺仕事人のサポートスタッフ(本人曰く「ボランティア」)で死体の後始末をしていて、これは弱き人たちを救う手段と信じながらも確実に精神を蝕まれています。だというのに、「ボランティア」を共にすることになった「ハイエナ」と名乗る女性と言葉を交わすことで「救われ」ます。しかも何かが浄化されたわけではなくて単に「俺はまだ続けられる」と思えたというだけの「救い」。挙句に「元気でな」と再会を期した別れの言葉まで言えてしまう。そして明日も汚れ仕事をする。
淡々とした「普通の交流」「普通の共感」で心が綻ぶというシーンでこちらの心も少し温まるのに、よく考えると汚れ仕事の現場でそれが展開されているという主人公の壊れぶりに、ぞわっと心が冷えました。