徹底したハードボイルド的客観描写
- ★★★ Excellent!!!
ハードボイルド文体の大きな特徴は、「徹底した客観描写」というものがあります。
例えば、「悲しい」と書かずに、どう「悲しさ」を表現するか。
この、「ハイエナ、元気でな」は、その技法を踏襲しており、読者に感情を“読ませる”余白があります。
例えば、主人公のやっている“ボランティア”を、別の登場人物が“ハイエナ”と表現し、それを主人公が否定しないシーンは、主人公の内面がよく表現されていると思います。
ただ、この文体の大きな欠点は、心理描写が極限まで削られる為、(極論ですが)その対にあるともいえるWEB小説やライトノベル読者との相性が悪い点。
作者は文体の特徴を削ってまで読者に寄せるか、
もしくは文体そのままに突っ走るかの選択を迫られます。
しかしこの作品はそのどちらでもなく、文体の特徴を保ったまま、分かりやすい客観描写で読者を引き込む力を持っています。
お世辞じゃなく描写力がすごいと思いました。